私が不動産・建築業界で働き続ける理由
私が、不動産業であるファインエステートを起業する以前の会社員時代にあった出来事をご紹介します。当時、住宅建築メーカーで工事監督をしていた頃の一番の思い出が、今でも心の中に鮮明に残っています。
最初は、住宅建築業界で現場監督としてスタート
住宅を新築する場合、契約後に工事担当は営業担当から計画概要や注意事項等の引継ぎを受けます。
その後、お施主様やインテリアコーディネーターを交えて、着工前に細かい打ち合わせを幾度となく重ねて工事に備えます。
ここで登場するお客様の場合、着工前打ち合わせの結果、追加変更内容が数多く発生し、見積額を提示させていただいたところ、当初の資金計画から大きく予算をオーバーしてしまいました。
そのため変更工事の内容をあらためて見直し、減額調整をすることになりました。
親孝行な息子さんの言葉に胸が熱くなった瞬間
当初の契約内容では、暖房設備がFF式灯油ストーブを各室に設置することになっていましたが、お施主様の希望で、予算オーバーになりますがセントラルヒーティング(全室集中暖房)に変更することになりました。
ただ、この変更工事費の全体に占める割合が、かなりのボリュームであったため、「もとのFFストーブに戻しませんか?」と申し出たところ、「それは出来ない!」と強い口調で言われてしまい戸惑いを覚えました。
聞くと、同居するお母様のために、「冬を暖かく過ごさせてあげたい」とのことでした。
「では、暖房設備以外で減額対象を見直していきましょう。」となり、最終的に照明器具やカーテン工事・外構工事等の見直しを行い、追加工事費の減額を果たし、晴れて初秋に工事がスタートしました。
工事も順調に進み、社内検査や施主検査も無事に済み12月上旬には竣工して、いよいよ建物完成・引渡しの日を迎えることとなりました。
同居されるご家族の皆さんに完成後の建物をゆっくり見てもらい、皆さんのうれしそうな笑顔を見ながら、「工事担当冥利に尽きるなぁ」と思いながら、引き続き住宅設備の取り扱い説明を始めます。
これが、私が不動産・建築の仕事を誇りに思い、これからも続ける理由。
例の減額工事打合せで議論したセントラルヒーティングの操作説明をひととおり終えたとき、お施主様である息子さんが、
「母さん、これからは廊下に出ても寒くないよ!ほら、あったかいだろ?」
「ますます長生きしてくれよ!」
息子さんがお母さんにそんなやさしい言葉をかけたとき、お母さんはハンカチを取り出しそっと涙を拭いました。私もジーンと胸が熱くなりました。
私にとって、今でも鮮明に記憶している一番の思い出です。
それぞれの人生のドラマに、わずかながらもお手伝いできるので、私はこの建築や不動産の仕事が好きで好きでたまりません。

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