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2020年03月07日
不動産売却の知識とノウハウ

古家付き土地売却は「更地」と「建物付き」のどちらが有利か?

相続した実家を処分するにあたり建築業者2社に助言を求めたところ、

「古家を取り壊して更地にした方が売れやすい」
「古くても建物付きの方が売れやすい」

と真逆な意見をもらい判断に迷っていますと、不動産売却を検討されているオーナーから相談を受けました。


ここでは、古家付の土地売却は「更地」と「建物付き」では、どちらが有利に働くのか、どちらが得なのかについて解説していきます。


 

最初の一手は隣接地所有者に購入を打診してみること

 

不動産売却の定石ですが、まず最初に、ご近所さんとしてお付き合いのある隣接地所有者に対して、購入を打診することです。実際の交渉事は、不動産業者にお願いするほうが心強いと思います。


お隣さんが興味を示したという前提で、仮に隣接地所有者が、「庭にしたい」、「駐車場を広げたい」、「親に家を新築して近くに住んでもらうつもり」等の希望から、古い家を取り壊して更地で売ってほしいと望むなら更地に

一方で、「息子夫婦が既存の建物を活かしてリノベーションして使いたい」等の家を残してほしいという希望があれば古い家付きの状態で売却することが最善策だと考えます。



 

さて、“お隣さんに話を持ち掛けたけど、要らないと言われてしまった”場合を想定して、一般に流通させるケースとして解説を進めます。

 

果たして築30年級の古家に商品価値はあるのか?

最初に、築30年級の古い家が、実際に不動産売買市場で取引されるのか、売れているのかについて、3つの成約事例を見てみましょう。

 

事例①:築27年木造2階建の建物代金 310万円

※買主は自己居住用として取得し、屋根外壁の塗装、キッチン・浴室・洗面化粧台等の水廻り設備、床フローリング及び内装工事を全面的にリニューアルして、現在入居中。


事例②:築37年木造2階建の建物代金 200万円

※買主は自己居住用として取得し、1000万円を超える大規模なリノベーションを実施後に入居。


事例③:築32年木造平家建の建物代金 200万円

※買主は定年退職後に帰郷した際の自己居住用として取得し、屋根外壁の張替えのほか、キッチン・浴室・洗面化粧台等の水廻り設備等を300万円ほどかけてリニューアル。帰郷するまでの間は、貸家として現在運用中。


このように、土地代を含めない建物代金だけで見ても、中等級の住宅はおおよそ200万円から300万円価格帯で取引されています。

 【関連記事】

【成約事例付】築30年の一戸建ての価値、売却や購入に値するかどうかの話。

解体して更地で売った場合と比べて、気になる金額差は?

前述の成約事例のとおり、築年数が30年クラスの家でも商品価値があることがわかりました。

もしも、この商品価値に気づかずに建物を取り壊してしまったら、更地で売ることに比べて、どのくらい手残り額が変わるのでしょう?

 

仮に、建物の解体工事費用を100万円として、建物を取り壊して売却した場合は、古い家付きのまま売却した場合と比べると売却益で300万円~400万円の手残り減になる可能性があります。
 


築年数が古い建物が付いている土地は、建物を取り壊して更地で売るより、建物付きで売却したほうが得だと言える理由です。

古家付土地を購入する人たちには共通項が...

古家付土地を購入される人たちには、その考え方などに共通項があります。

①昔と違って、今はリノベーションやリフォームに抵抗感はない

 

時代の流れと言えばそれまでですが、つい20年前までは新築神話が隆盛で中古住宅を買ってリフォームすることなんて見向きもされない時代だったのです。

 
TV番組の、劇的ビフォー・アフターやTVチャンピオンのリフォーム王決定戦で取り上げられたことで、「建物は不具合や痛みがあっても、適切に直せば使えるものだ」と建築業に従事しない一般の方々にも広く浸透しました。これらの番組の功績は大きいですね。

 
ちょうど10年ほど前からリフォームを進化させた「リノベーション」という言葉が使われ始め、今ではすっかりお馴染みになりました。

 
同時に、古い家を自分好みにカスタマイズでき、基礎や柱等を再利用することで新築と比較するとフルリノベーションは、工事費が20~25%程度縮減できるので、浮いた費用を設備や内外装のグレードアップに投入できるメリットを活かす若い人たちが増えてきています。
 

そのため、今やリフォームやリノベーションに抵抗感を持つ人は少なくなり、築年数の古い家でも一般に流通するようになったわけです。

 

②立地環境の魅力は古さをも圧倒する

 

立地環境によって、子どもの学校区や通勤のアクセスを優先する関係から、地域を限定、つまり立地を最優先事項に不動産の購入計画を立てる方がおります。

具体的には郊外にあるのではなく、病院や学校、商業施設が近くにある利便性の高い立地環境を指します。

その中には、「新築したいが、どうしても希望の地域から土地の売り出しがない」場合は、新築をあきらめて中古住宅をリノベーションする方向に切り替える人もいます。地域を決めて探す方の柔軟さが伺えます。

 

 

古家付きの土地を購入する側のメリット

次に、古家付土地を購入する側が、どのようなメリットを感じているのかについて紹介します。

自己居住の場合(実需)

 

先に少しだけ触れましたが、仮にフルリノベーションをする場合と新築する場合の工事費を比較すると、フルリノベは基礎や柱、屋根等の構造躯体が再利用できるので、工事総額が新築の20~25%程度まで縮減可能です。

 
フルリノベーションで自分好みにカスタマイズするメリットは、活かせるものを活かし、グレードアップやこだわりの部分に集中して自己の資金を投じることの経済合理性があることです。


また、おしゃれにフルリノベーションする人ばかりかと言えばそうではなく、「現状のままでも今の家より数段きれいなので、100万円ほどかけて軽微な修繕だけで済ませる人や、外壁の塗装や水回り設備を300万円程度でリニューアルするひともいるので、買い手により多種多様な直し方があります。

 

 

一戸建て貸家にする場合(不動産投資目的) 

 

人口が減り、空き家が増加の一途をたどる現代ですが、アパートマンションの集合住宅に比べて、一戸建ての賃貸住宅需要はまだまだ高い状況です。

そのため、家賃収入を得る目的で、古い家を専門に購入する人たちの一定の需要があります。

 

古家付き土地で売却することの売主のメリット

 

①解体工事費の支出が無い

支出が無いほか、見積り依頼や工事業者への発注等に係る手間も要らなくなるので負担は軽くなります。
 

②土地の固定資産税は軽減を受けたままでOK

土地上に建物がある場合、住宅用地については、住宅1戸につき200㎡までの部分は1/6、200㎡を超える部分については1/3に軽減する特例が受けられています。

古い家が付いた状態で売却する場合は、土地の固定資産税の軽減を受けたままでいられます。

なお、1月1日現在で建物を取り壊され更地になっていた場合は、その年の土地の固定資産税は上記の軽減適用は受けられません。家屋はすでに滅失しているので、固定資産税はかかりません。


③建物の再利用は環境への配慮がGood

愛着や思い出のある家が、引き続き大事に使われることは、建物解体による廃棄物の削減やエコマテリアル(省資源)を通して、地球や社会に貢献しています。

 

古家付き土地で売却することの売主のデメリット

 

売主にとっては、買い手がついて引渡しを済ませるまでの危険負担の問題が気になるところでしょう。

古い家であっても、売却対象の商品であるわけですから、台風や地震、火災のリスクに備えて、建物には住宅総合保険(火災保険)をしっかりかけておきましょう。

もしも、保険が掛かっていない場合は、年払いでかまいませんので掛けておきましょう。

結論

 

国土交通省の住宅着工統計の推移をみると、1970年代をピークに年々減少の一途をたどっています。また将来を見据えても、わが国の人口減少や雇用問題、経済情勢を鑑みると、ジリ貧になっていくことが容易に想像できます。



いつの時代も新築のマイホームは、お父さんお母さんそして子供たちの念願であることに変わりませんが、もしかしたら働く人たち皆が新築の家に住める時代はもう来ないかもしれません。

 
しかしながら、「新築」は無理でも、自分たちの裁量の中で、念願のマイホームを手に入れたいと考える方も世の中には数多くいらっしゃいます

 
近年、木造住宅建築の技術改良により、築年数が古くてもまだまだ立派に存在する建物が多くなりました。



築年数が古い家でも、その人たちなりに「わが家」を持ちたい需要は根強く存在しており、購入者視点で言うと「古い家が付いている方が歓迎する」のです。

 

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この記事を書いた人
藤原 滋己 フジワラ シゲキ
藤原 滋己
函館ラ・サール卒。商船系データ通信会社から建築・不動産産業界へ転身。宅地建物取引士+二級建築施工管理技士。ハウスメーカー勤務時代に、木造住宅の工事監督のちに住宅・アパート・店舗・寺院など様々な建築物の営業を経験しました。建築不動産の営業歴は通算25年。 安心かつ安全な不動産取引のために、これまで培ってきた知識や経験・ノウハウを、お客様へのサービスのために全力で提供します。遠慮なく何でもご相談ください。きっとお役に立ちます。
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