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2020年06月02日
不動産売却の知識とノウハウ

不動産の訪問査定と簡易査定の違いから、査定に必要な書類までを徹底解説

不動産査定における「訪問査定」と「簡易(机上)査定」の違い、査定依頼の際に売主が用意する書類、不動産業者によって査定結果にバラツキが出る要因、査定報告書が完成するまでのプロセス、査定報告を受ける際に売主が確認すべき注意点にいたるまで、査定に関する疑問を包括的に解説します。

1.訪問査定と簡易査定の違いは?

①簡易査定(机上査定)とは

現地確認をせずに、机上計算で査定結果を求める査定です。簡易査定のほか机上査定と呼ぶこともありますが、どちらも同じ意味です。



土地は路線価や付近の地価公示に基づいて計算を、建物は構造や延床面積、築年数に基づいて算出します。

 

現地確認をせずに机上計算で求めるため、実勢価格とかけ離れることが多々あります。手入れが行き届いた建物とそうでない建物も、残念ながら簡易査定では同じ結果になってしまうのも、こうした理由によるものです。



物件の個別要素や売主の個別事情が反映されないため、簡易査定の結果は意味をなさず実用性も乏しいため、依頼される方は少ないです。

 

また、最近では、人工知能AIによる不動産の“1分査定”や“10秒査定”を行なうサイトがありますが、不動産売却を検討されている人の名簿集めに近く、まだ売却の意思も固まっていない段階からサイトに登録する不動産業者からのアプローチを受けることになる恐れもあるので、むやみに手出しはしないほうがいいでしょう。 >参考記事: 不動産一括査定サイトのデメリットを考察

 
「不動産会社の訪問査定を受けるまでもない」、あるいは「今の段階ではまだ、不動産会社にコンタクトを取りたくない」といった場合で、おおよその値ごろ感を掴んでおきたい方は、不動産会社のウェブサイトやポータルサイトを閲覧してみることをおすすめします。



同地域の類似物件が、いくらで売りに出されているか、どのくらいの期間で売れたか等をチェックすれば、全体像は把握ができると思いますので参考にしてみてください。

 

なお、お住いの地域で土地の取引価格を調べるには、どなたでも閲覧できる政府系サイトがありますので、関連リンクをご紹介しておきます。

 

【関連リンク】

国土交通省 不動産取引価格情報

国税庁 路線価図・路線価倍率表

路線価は、おもに相続税の計算に使用する価額で、通常の取引の査定基準として使用しません。

但し、実勢相場の予想する目安として、路線価÷0.8=実勢相場の目安 という使い方もできるので、試しに調べてみるのもよいでしょう。

 

②訪問査定(実査定)とは

先述の簡易査定とは異なり、より精度の高い査定額を算出するために、訪問査定では以下に掲げる項目について入念に調査を行ないます。

イ)物件の個別要素

土地と建物の個別要素について、現地調査で確認するおもな項目をご紹介します。

<土地に関すること>
・接面道路の種類(公道、私道等)
・道路幅員や道路負担の問題
・敷地の方位
・敷地の高低差
・土地境界標の有無や越境問題
・再建築は可能か
・上下水道本管の道路敷設状況
・庭や車庫などの外構工事の有無やグレード



<建物に関すること>
・建物の構造(工法)や規模(床面積)
・建物を施工したハウスメーカーのランク
・建物の維持管理、保守の状況
・リフォームや修繕の履歴
・建物外観や室内のデザイン性
・付帯設備や装飾品のグレード
・建築確認済証や検査済証の有無
・不具合や故障の有無

 

この現地調査のほか、市役所の建築行政課や水道局、また法務局等でも調査を行ないます。

ロ)売主の個別事情

以下に、売主の個別事情について、不動産業者がヒアリングさせていただく内容をご紹介します。

■ 売却理由
・買い替え(住み替え)
・任意売却
・相続税支払いのため
・離婚による財産分与
 

■ 売却期限(期間)
いつまでに売却しなければならないか


■ローン残債の有無
住宅ローン残債の有無や売却後にいくら返済しなければならないのかなど。

 
訪問査定では、担当者は上記項目について調査した結果を踏まえ、「需要はあるか?」、「いくらで売れそうか?」、「根拠に基づいた客観的な数字か?」など多面的に検証し、市場性等を補正したうえで査定報告書を仕上げます。

 

③不動産業者による補正要素



査定金額は、「物件の個別要素」、「売主の個別事情」、「不動産営業担当者の補正要素」によって構成されます。

 

不動産営業担当による補正は、知識や経験値、需要を見抜く市場分析力とによって加減調整される重要なポイントとなります。

 

実際に、査定額を無視して売り出した結果、失敗を招いたケースもありますので、注意が必要です。後半の売出価格の決め方の章で、詳しく解説します。

 

 

なお、訪問査定について、さらに詳しく知りたい方は、こちらの記事もご参照ください。

不動産の訪問査定とは?訪問査定の調査内容から報告までのプロセスを詳細解説

2.仲介査定と買取査定の違いは?

仲介査定とは

一般的に言う不動産査定は、この仲介査定を指します。
実勢価格や相場をもとに、実際に市場で売れる、取引が成立されるであろう成約予想価格のことを言います。


中古車や宝石・貴金属の下取り(買取)査定とは異なり、高ければ良いという問題ではありません。

 

不動産業者が買い取るわけでなく、一般市場に流通(仲介)させて売却するための査定になります。


不動産業者は、「市場に売り出したら、いくらで売れるのか」について、物件の調査結果をもとに成約予想し査定報告書にまとめます。
 

ところが、不動産業者によって、この仲介査定額にバラツキが出てきます。おもな要因は次の通りです。

①需要予測(成約予想)に対する見立てのズレ

情報量が多く経験値の高い担当者が査定する場合は、精度の高い査定額が示されます。ここでいう精度とは、実際に売れる価格(成約金額)と乖離が少ないことを言います。

物件そのものが持つ魅力や立地環境から、どのくらいの需要を掴んでいるかがわかります。

ちなみに、最近私が不動産ポータルサイトで見つけた例では、同一の区分所有マンションで過去一年以内に4000万円を超える価格で取引されているのに、事故物件でもないのに3000万円を切った価格で売ってしまったというケースがあります。

明らかに、需要予測の見立てに誤りがあった事例です。

②単に媒介を受託したいがために、需要よりも高い価格を提示する問題

一言でいうと、担当者の本心では「現実問題、査定額どおりには売れないよなぁ」と思っているのに、とりあえず競合不動産業者を蹴落として媒介契約を締結するために、売主が喜ぶ高値の査定額を出しておこうというケースです。

時間の経過をみて、「売主さん、価格をもっと下げないと売れそうにないですね・・・」というシナリオが待っています。


これは売主のデメリットにつながるので注意が必要です。

デメリット1. 機会損失(時間の浪費)

最初の需要予測から逸脱した売出価格のままでは、価格改定でもしない限り、いつまでたっても売れません。

その間に経過する時間(期間)は無意味となり、時間がもったいないと言えます。

デメリット2. 価格を下げても売れにくくなる

①後から売りに出される類似物件に有利に働き、後出しに勝機があります。

購入者は比較検討のうえ意思決定を行なうので、残念ながらあなたの物件は絞り込みに漏れてしまう可能性が高いでしょう。

後から売りに出される物件から順に売れていくという厳しい現実を目の当たりにしなければなりません。




②購入者は毎日といっていいくらい不動産会社のウェブサイトやポータルサイトを眺めて物件をチェックしています。

数か月間売れずにいると、情報の鮮度も下がり、売れ残り物件というレッテルを貼られてしまいます。

そうなると、せっかく価格を下げて売りに出しても、お客様の反応が薄く問い合わせや内覧につながらないことが多々あるので、売主にとっては大きな損失と言えるでしょう。

買取査定とは

不動産の売却をご近所に知られたくない、すぐに売って換金したい等の事情がある場合は、不動産会社に買い取ってもらう方法があります。

 

<業者買取の特長>
①早期に売却できる
②住み替え等の計画が立てやすい
③物件所在地と居住地が離れていても手続きがスムーズ
④ご近所に知られずに売却できる
⑤売主の瑕疵担保責任(契約不適合責任)を免責にできる
⑥仲介手数料がかからない
⑦建物の修理やリフォームが不要
⑧残置物の処分が不要



買取価格には相場がなく、不動産会社によって異なります。

函館市の場合で実勢価格(=仲介で売れる金額)の70%前後、東京など首都圏の中古マンションでは80~85%と聞きます。普通に考えると、売主は仲介で売った方が得なのです。

いずれにしても稀少性や人気度など、物件の個別要素との兼ね合いで買取価額が決定されます。

 
不動産を買取してもらう場合のメリット・デメリットについては、詳しく解説した記事をご参照ください。

 

【参考記事】

不動産売却で業者買取を選択するメリット・デメリットを解説

3.査定依頼時の売主の必要書類

売主が査定依頼をするときに用意する書類等は以下の通りです。

 

① 権利証または登記識別情報
②登記簿謄本、公図、地積測量図、建物図面
③境界(筆界)確認書
④ 隣地所有者と交わす「越境に関する覚書」
⑤固定資産税納税通知書
⑥購入時の各種書類(売買契約書、確認通知書・検査済証、管理規約など)
⑦過去のリフォームや修繕履歴

 

必要書類について、さらに詳しいことは以下の参考記事をご参照ください。

【参考記事】

不動産売却時の必要書類とは?売主が用意する7種類の書類を解説。

 

4.査定のための調査から報告までのプロセス

実際の査定の現場では、不動産業者はどのようなプロセスで何を調べていくのでしょうか。

不動産業者によっては査定結果にバラツキが出ると言いますが、営業力のある会社は査定調査自体を入念に行っています。

不動産業者の仕事ぶりは、その後の選定基準になりますので、調査の実施から査定報告書が完成するまでのプロセスを知っておきましょう。

詳しくは参考記事をご参照ください。

【参考記事】

不動産訪問査定の内容は?調査から報告までのプロセスを詳細解説

5.査定報告を受ける時に、売主が確認すべきポイントと注意点

不動産業者に査定結果の報告を受けるときに、売主は査定書のどこを見ればいいのでしょうか?そして、何を聞けばよいのでしょうか?


とかく専門用語が出てきがちな場面だけに、査定報告を受けるときに、売主が注意すべきポイントを知っておきましょう。

AI査定結果の盲点や、売り出し時の販売戦略や考え方を尋ねることにより、信頼して任せられる業者か判断するなど、業者選びのポイントにも通じます。

 

チェックポイントは大きく6つあります。

①査定額や算出根拠の説明を受けるときの注意点

②販売戦略を尋ねる時の注意点

③売却の諸手続きや準備に際しての注意点

④登記手続きの要・不要の説明を受ける際の注意点

⑤境界確定と越境に関すること

⑥引き渡し時の残置物について


確認の仕方の詳細については、こちらをご参照ください。

家の査定はどこを見る?何を聞く?|不動産査定の注意点と確認事項

6.査定額と売出価格の関係

査定額をないがしろにして売り出し価格を設定し、結果的には長期間売れずに値下げまで招いてしまった失敗を経験する人は少なくありません。

 

査定額より大幅に、売り出し価格を高くしてしまった事例

・売り出しを始めて、実際の反響はどうだったのか?

・最終的な着地点は?

・木造住宅は、一年ごとにいくら減額するのか?

・売り出し価格を高くして失敗した経験から、教訓として学んだこと

 

自らの体験を通して、売り出し価格の決め方に関する注意点とそこから得られた教訓について深堀り解説をご覧になる方は、参考記事をご参照ください。

【参考記事】

失敗例から学ぶ、不動産査定額と売り出し価格の決め方。

7.査定額に納得したら、いよいよ売り出しへ。不動産売却の流れを知ろう。

当記事では、査定の全容や詳細について上図の1~3を中心に解説を進めてきましたが、査定額に納得し売出価格が決まれば媒介契約を締結し、いよいよ販売に向けて始動します。

 

1.売却相談・査定依頼

2.不動産物件の調査

3.査定報告書の提出と売り出し価格の決定

4.媒介契約の締結

5.広告の制作

6.販売活動の開始

7.販売活動状況の報告

8.買付証明(購入申込書)の受理と売渡承諾書の交付

9.重要事項の説明、不動産売買契約の締結

10.引渡しの準備

11.代金決済と物件の引き渡し

 

土地や一戸建て、マンションなど不動産売却の流れを時系列に示しています。

実は売主としても何をすべきかという点について補足しています。
ぜひ、はじめての不動産売却の実践に役に立つように注意点を確認しておきましょう。

 

詳しくは以下の参考記事でご参照ください。

不動産売却の流れとは?査定依頼から引き渡しまでを時系列解説。

査定額に納得し売出価格が決まっても、まだ安心できない。家やマンションの売却で値引きを受けないコツとは?

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家を高く売る方法7つの戦略ガイド【実例解説付】
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この記事を書いた人
藤原 滋己 フジワラ シゲキ
藤原 滋己
函館ラ・サール卒。商船系データ通信会社から建築・不動産産業界へ転身。宅地建物取引士+二級建築施工管理技士。ハウスメーカー勤務時代に、木造住宅の工事監督のちに住宅・アパート・店舗・寺院など様々な建築物の営業を経験しました。建築不動産の営業歴は通算25年。 安心かつ安全な不動産取引のために、これまで培ってきた知識や経験・ノウハウを、お客様へのサービスのために全力で提供します。遠慮なく何でもご相談ください。きっとお役に立ちます。
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