不動産売却は相続の前後どちらで行えば良いの?適切な売却のタイミングを解説!
「不動産売却は相続の前後どちらで行えば良いのか分からない」
こうしたお悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか。
不動産売却において、売却するタイミングは非常に重要です。
せっかく売りに出すのなら、少しでも利益を上げて売りたいですよね。
そこで今回は、適切な売却のタイミングについて、不動産業界歴25年の宅建士が解説します。
相続前と相続後に、不動産売却するそれぞれのメリットとは
相続前に不動産を売却するメリット
相続前に不動産を売却するメリットとしては、相続をめぐった身内でのトラブルを回避できるという点が挙げられます。
相続後に不動産を売却するとなると、遺産分割協議で不動産をどのように相続すれば良いのか迷いますよね。
部屋ごとに相続しようと思えばできなくはないですが、あまり現実的な考え方ではありません。
そのようなトラブルを未然に防ぐためには、不動産を事前に売却して現金化しておくことがおすすめです。
現金であれば、自由に金額を設定して分配できるため、相続する人たちの間で揉める心配も減りますよね。
なお、相続前に不動産を売却した場合であっても、譲渡所得税は納める必要があるため知っておくと良いでしょう。
相続後に不動産を売却するメリット
相続後に不動産を売却するメリットとしては、譲渡所得税を節税できる点が挙げられます。
不動産の相続人が相続した後に売却した場合でも、不動産を現金にしてから分配するという考え方は変わりません。
ただし、相続税の申告期限である相続開始から10カ月後の翌日から3年以内にその不動産を売却した場合には、「相続税の取得費加算」という特例制度が適用されます。
取得費加算とは、相続した不動産を売却して利益が生じた場合に、課される所得税を軽減できる特例です。
国税庁 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例を見る>>>
そもそも所得税は、売却代金から取得費と手数料を差し引いてプラスになった場合に、利益が生じていると判断されて課されます。
また取得費には不動産の購入代金や購入時にかかる各種税金が含まれ、手数料には不動産売買時にかかる仲介手数料や測量費用などが含まれます。
つまり、相続した不動産をこの期間内に売却することによって、それらの差額分の譲渡所得税を節税できると言えるでしょう。
また相続税の課税の関係については、現金よりも不動産のほうが有利とされています。
なぜなら不動産の場合は、相続税の課税対象となるのが時価ではなく、土地は「路線価」、建物は「固定資産税評価額」によって評価されるからです。
つまり、不動産の場合は課税評価が時価よりも低くなるため、相続税を節税できると言えるでしょう。
一方、不動産を売却して得た「現金」を相続する場合には、現金自体が課税評価額となるため、不動産と比較すると割高になりやすいです。
とはいえ、現金であるほうが遺産分割はしやすいため、状況に応じた選択肢を検討できると良いでしょう。
3000万円の特別控除を利用する際の注意点とは
他にも節税する方法として3000万円の特別控除を利用すれば、相続が発生する前に売却したほうが有利になるケースもあります。
3000万円の特別控除とは、不動産を売ったことによる儲けを3000万円分なかったことにしてくれるという制度です。
なんとも魅力的な制度ですが、実際に利用しようとなるとかなり細かい条件を満たす必要があります。
したがって、条件については事前によく確認する必要があるでしょう。
3000万円の特別控除を利用する際の注意点としては、まず自宅として使用していた不動産を売却したときのみに適応されるということが挙げられます。
つまり、年に数回しか訪れないような別荘などの売却時には適応されません。
あくまでも、自宅として使用していたときの特例であることを知っておきましょう。
他にも特別控除を利用するためには、確定申告をすることや住まなくなってから3年経過した日を含む年の12月31日までに売却することなどの条件が挙げられます。
また売り手と買い手が親子や夫婦であることや自分の経営する法人などの特別な関係でないことなどの細かい条件もあるため注意しましょう。
こうした厳しい条件はありますが、平成27年の税制改正によって、空き家となった自宅を売却できるようになりました。
ただし、昭和56年5月31日以前の物件であることや一定の耐震基準になるようリフォームされていることなど、こちらも様々な条件があるため注意できると良いですね。
【参考記事】
「不動産売却の際にかかる税金について」を見る>>>
不動産売却の適切なタイミングとは
相続する不動産の適切な売却のタイミングは、状況によって異なります。
したがって事前に様々な情報を総合して、自分たちに適した対策を講じていくことが非常に重要です。
そこで重要になってくるのは、いつ売却するのかではなく、何のために売るのかという目的を明確にすることです。
売却の目的がはっきりしないままでは、適切な売却のタイミングを検討できません。
反対に、目的が明確になれば自分たちにとって最適な売却のタイミングが見えてくるでしょう。
まとめ
今回は、適切な不動産の売却のタイミングについてご紹介しました。
相続分割の面では、現金のままが優れており、課税関係上では、不動産をそのまま相続するのがベストな選択と言えるでしょう。
不動産売却に興味がある函館市にお住いの方は、ぜひこれらの情報を参考に、自分たちに適した不動産の売却方法をご検討ください。
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