建物代金10万円で購入した築51年の一戸建てをリノベーションして貸家にした、わが社の不動産投資体験談。
相続した実家を貸してみたい、これから戸建て賃貸経営を始めてみたい、大家業に興味のある方は、コンセプトづくりや賃貸経営者としての考え方の参考にしてみてください。
1.物件取得の目的は、貸家にして家賃収入を得ること~築古戸建ての不動産投資
1-1 投資用に買い取りした物件の概要は?
2017年2月に、当社で買取りした函館市内の築古戸建て。
土地面積は66坪、建物は築51年の木造2階建で延床面積は44坪の戸建て住宅です。売買金額の内訳で建物は10万円、つまり土地値で購入させていただいたのです。
皆さんの中には、「築51年?建物はまだ使えるの?」と思われるかもしれませんが、構造躯体は古くても、途中で2度増改築されてきた建物。
直近では平成10年に改築されています。ほどほどにメンテナンスや修繕が施されており、古さを感じさせない建物だったので、貸家として家賃収益を上げるために取得してみました。築古戸建てを運用しての不動産投資は、私も初めての試みでした。
会社員時代に住宅ビルダーで工事監督をやっていた私にとっては、「建物は悪いところを直せば、ずっと使えるもの」という感覚があるので、築年数が古い木造建物を取得することに不安や抵抗感はありませんでした。
私に限ったことではなく、大工さんや建築関係に携わる人であれば、ほぼ同じ考え方です。ダメなところがあったら、直せばいいのです。使えるものを壊すのはもったいないですからね。
1-2 物件の特性や強みをリノベーションで開花させる
さて、この住宅の特長を類似の競合物件(貸家)と比較してみた場合、
①小・中学校や商店街に近くファミリーに人気の高い立地環境にある
②車庫が付いている
③広い庭がある
こういった強みがあります。
しかしながら、取得した状態そのままでは入居募集をかけられない(上の写真が現況です)。この機会に、物件のもつ強みを活かしたリノベーションを行ないます。
予算を抑えるために、一部の工事はDIYで行ないます。
この家を借りられる方が喜ぶ笑顔を想像しながら、そしてここでの暮らしを楽しめそうな家に変化させるのはワクワクしますね。
計画段階は夢が膨らみ、楽しいものです。
2.最初は室内不用品の処分。同時進行で内装のコーディネート案も練る
2-1 不用品処分はクロダリサイクルに発注
函館市西桔梗町に本社置く株式会社クロダリサイクル。
地元では鉄・非鉄金属のリサイクルで有名ですが、産業廃棄物や一般廃棄物も取り扱います。金属類は無料で引き取ってくれるのはもちろんのこと、衣類も無料というのはありがたいです。
料金が低廉である理由から、当社ではいつもクロダリサイクルを利用します。また、中古住宅の売却に伴って、不用品の処分が必要な売主様にも推薦しています。
今回は、20万円程度はかかるだろうと思っていた不用品の処分代が、労務費とあわせて13万円だったので、早速、クロダリサイクルに発注しました。
2-2 内装コーディネート案を練ってみる
改修工事の見積りを取り寄せるには、現地で建築業者さんに対して工事内容の説明会を実施します。
現地説明を行なう段では、内装や照明器具の選定など、おおまかでもインテリアプランをまとめておきましょう。仕上げの完成イメージをある程度具体化させておくメリットは、見積りにヌケやモレが出ないようにするためです。
今回、当社でプロデュースする貸家の入居ターゲットは、小・中学校に近い立地であることから、30代から50代の子育て世代を想定しました。
それは、車庫が有り、数人でバーベキューが楽しめるほどの広い庭があるので、比較的若い世代に支持されるだろうと見込んだからです。
万人受けするように白い壁紙を多用するプランもありますが、私の場合は、入居者を想定したうえで、その方たちのライフスタイルに合った内装にすることを心掛けています。
テーマは「ナチュラルヴィンテージ」に設定して、そのテイストや風合いを取り入れつつ、優しい色合いにまとめることに決めました。
2-3 コストの高い壁紙(クロス)を採用する理由
私が選ぶ壁紙(クロス)は、すべて1000番台(AAクラス)です。
おしゃれなデザイン、また色柄が豊富に有ることはもちろんですが、普及品クラスの500番台と比較すると素材の耐久性(強さ)が高いからです。
このAAクラスの壁紙は、汚れにも強く、モノをぶつけてすぐに破れません。そのへんが普及品クロスと異なります。
施工費は普及品と比べて㎡あたり200円程度割高になりますが、入居者に退去時の原状回復費用の心配を与えることなく、気持ちよく暮らして頂くことを考えてのことです。
建築コストを抑えるために、天井クロスは普及品クラスを採用するのも選択肢としてはアリです。
3.工事前の近隣挨拶にはポジティブな理由がある
今回の現場では、工事に入る前の最初のステップとして、不用品の処分がありました。不用品を搬出するとトラックももちろんのこと、作業員さんの出入りがあるので、その前に「着工前の近隣挨拶」を行ないました。向こう三軒両隣り、加えて背後の御宅にも。
取得した物件は当社の近所でもあることなので、「おはようございます。不動産のファインエステートです。」と社名を名乗ると「はい、知ってますよ」というお返事が返って来ます。おかげで、挨拶がすこぶる捗りました。
さて、私が工事前の近隣挨拶を重要視しているには、次のような理由があります。
①誰が新たな不動産所有者なのかを知らせることで安心してもらえる
前所有者から新たに取得した人はどんな人なのだろう?ご近所の方にとっては関心の高いことがらです。
その場所で不動産賃貸業という商売をさせていただくわけですから、地域の方に安心していただくことはとても大事なことです。
②防犯面においても一定の効果がある
工事中や、また仮に入居者がまだきまっていない空き家状態のときに、自然災害などによる建物の毀損、他人によるいたずら、または空き巣に入られてしまうなど、異常や不測の事態はいつ起きるかわからないものです。
ご近所同士で声を掛け意識しあうことで、早期発見につながり、被害を最小限に食い止められる効果があります。
③入居者が安心して暮らせるように情報収集目的も
「ご近所にどんな方が住んでいるのだろう?」
これからご入居されるお客様にとっては当然のことながら最大の関心事です。着工前に一軒一軒を実際に挨拶しながらお伺いし、直接お話をしてみることで “人となり” や “お人柄” など得られる情報や見えてくるものがたくさん有ります。
なにしろ、自分の肌で感じた感覚を、入居をご検討されるお客様にしっかりお伝えできることが大切なのです。
当然のことながら、この近隣挨拶は工事前に済ませないと意味がありません。
礼儀やマナーといった見地からです。
相手への配慮。これはビジネスだけでなく、どんな場面においても、言うまでも無くとても大事なことです。
4.戸建てリノベーションにかかる工事費をいかに抑えるか?
4-1 工事予算を組む前にやるべきこと
今回取得した物件は貸家(賃貸住宅)として運用し家賃収益をあげることが目的です。
この建物は、過去に昭和51年と平成10年に増改築工事が行なわれているのですが、構造躯体は築50年を超えています。
正直、手を加えたいところは山ほどあったのですが、当社が中古住宅として再販するわけでもなく、またかかった工事費の分だけ賃料に上乗せするような“ひとり相撲”をしたところで借りる側のニーズに応えられるわけでもありません。
改修工事の計画主旨としては、間取り改造による障害要因の除去と、清潔感を保ちつつ“おしゃれ感”を演出することに徹しようと考えました。
4-2 工事費を抑えるために心掛けていること
工事費を抑えるには、幾つかの条件が必要です。
①間取りの変更やデザインを自ら決められるかどうか
オーナー(建物所有者)であるあなたが、改修案を業者に提示出来ないのであれば、やむを得ずプロに依頼しなければなりません。
問題解決力ならびにデザイン提案力がある不動産会社をパートナーにお持ちであれば心配には及びませんが、そうでなければ、この部分のコストダウンはあきらめて提案力のある建築デザイナー、あるいはデザイン感覚の優れた工務店(施工会社)に相談しましょう。
ちなみに人気を阻害する、つまり内覧してもお部屋探しをされる方がおそらく示すであろうネガティブな反応に対する措置として、今回は設備のグレードアップで誤魔化すのではなく、使いづらさの解消を間取りの変更をもって根本解決を図ることにしました。
②工期に余裕をもてるかどうか
工期に余裕が無ければ、大工さんや職人を多く抱える会社に依頼しなければなりません。規模の大きな会社は固定経費が掛かっているので、なかなか安くはならないものです。
あくまでも賃貸住宅のリノベーションなので、ここは割り切って考えます。
個人事業主や小規模の会社へ発注することで、工事費を実勢価格の1~2割ダウンで抑えることが可能となります。もちろん、腕の確かな信頼のおける業者さんであることが大前提となります。
職人さんに無駄な動きをさせない工程を組む。この配慮があると、工事金額を縮減する知恵を一緒に考えてくれるわけです。つまり、相手への思いやりが大事だということですね。これも、工事費を割安にする工夫のひとつです。
③適切な現場監理ができるかどうか
幸いなことに、私は以前に住宅工事の現場監督を務めていた経験から、自ら現場を監理することが可能であるため、賃貸住宅の場合は工務店に一括発注せず分離発注方式(各種専門の工事会社へ、直接発注する)を採用しました。
上記②と同様に詳細な工事見積書を理解することが出来て、施工や工程の管理までできれば鬼に金棒です。
理想はオーナー自らが建築経験を持っていることですが、無いからと言って落胆することはありません。
価格競争力のある建築ブレインを抱える不動産会社をパートナーに持てば安心です。
但し、施工費の適正さや実勢価格も知らないのに、なんでもかんでも「安く安く!」というオーナーさんは、良い業者さんに嫌われます。せっかく出会っても、業者さんが離れていってしまう恐れがあります。
やみくもに相手を疑うのではなく、自らしっかり勉強してみる姿勢は信頼関係構築のためには必要なことです。
それでも疑い深い方がいるとすれば、もはや“究極の工事費低減策であるDIY”をご自身で試されるしか選択肢はありません。
クライアントから引っ張りだこである腕の良い職人さんや業者さんは、ディスカウントしなくても仕事の受注に困っていません。
ぜひ、長い付き合いの出来る、信頼のおける心強いパートナーを見つける目利きを持てるようになりましょう。
5.工事費の予算オーバーを避けるか?それとも入居者の快適さに重きを置くか?
5-1 広いリビングは根強い入居者ニーズ、思い切って間仕切壁を撤去し開放的に!
もともとは居間(8帖)のとなりに洋室(6帖)がある間取りだったのですが、今回は、思い切って間仕切壁を撤去し14帖の広い空間に改造してみました。
この物件は、幸いなことに南側に広い庭があるため、1階でも日当りが良いのです。現況の間取りではどうしても閉塞感を感じてしまうので、「広いリビングと広い庭のある家」をセールスポイントにするという考えで進めることにしました。
上の写真は、断熱材の充填状態をチェックしながら、床の不陸を直しているところです。
5-2 施工費を抑えるには木工事を絡ませないこともポイント
リノベ費用を低く抑えるには、できるだけ大工さんが絡む工事(木工事)を行なわず、塗ったり貼ったりの内装仕上げで済ませることがセオリーです。
このセオリーはマンションなどの集合住宅ならわからなくもないのですが、なにせせっかくの木造一戸建てですし、おまけに在来工法で建てられた住宅なら、機能性や実用性に乏しい間取りは思い切って変えたくなるわけです。
自己の居住用ではなく、貸家として賃貸経営を目的に改修するわけですから、あくまでも入居者目線の使いやすい、住んで良かったと思われる建物にしたいものです。
現況の間取りが入居募集の障害となりそうだったので、思い切って間仕切り壁を撤去する改造を実施しました。
なお、室内の照明器具はニトリとコジマ電気で購入し、新しいものに取り替えました。LED電球が使える照明器具が6点で計65,000円。
ひところに比べると、ニトリはおしゃれな照明器具のラインナップが増えていました。安くてデザイン性のあるものは大歓迎です。
6.リフォーム現場では大工さんと細かな打ち合わせを
新築であれば、細かな納まりに関して建築家がディテール図や施工図を書くということもありますが、既存住宅のリフォームでは床や壁・天井を剥がしてみなければわからないことが多々あります。
また、すでに仕上がり寸法が決まっている中でやりくりしなければならない局面もあるわけです。
今回の現場では、こんなことがありました。
2階和室の畳の下に敷かれている床捨て張り材の剛性が低い。通常は12ミリ~15ミリ厚の針葉樹合板などを使用しますが、既存の材料はシージングボードのような材質で厚みも9ミリしかありません。
畳を敷いてしまえば気にならないかもしれませんが、入居者がお引越し後にタンスを置かれたりすることを考えると、どうにも心もとない状況です。
既存の床捨て張り材の上に12ミリの合板を重ね貼りしたかったのですが、畳寄せの調節だけでなく押入れの敷居枠との取り合いがうまくいきません。
和室の押入れ枠や建具を作り直すという方法もありますが、当然に10万円単位のコストアップになってしまいます。
そこで今回は建具工事を発生させないように、大工さんの手により、1階天井部分から2階和室の床根太補強を行なうことに決めました。
リフォームにおいて、このようなことは日常茶飯事なので、こまめに現場に通っていると、大工さんや職人さんから相談や問題提起があるので、じっくり説明を聞いてベストな選択をしてください。
密に打合せを重ねるほど、満足度の高い出来上がりになるものです。
7.仕上がってからでは遅い、ここに注意!
7-1 仕上げってからでは遅い!確認、打ち合わせは大工さんが現場に居るうちに。
現場に行くたびに、大工さんから「あそこはどう納めるつもり?」、「このあいだ打ち合わせた箇所に手を加えてみたので確認してみて!」など、質問や確認事項のすり合わせを行ないます。
内装仕上げに入る前に、完成時に美しく仕上がるかどうかは、この段階で決定するので大事な工程です。
今回の工事は新築同様に復元させるリフォームではなく、間取りの使いづらさなどを解消し、機能性を向上させ、入居者に居心地の良さを感じてもらう空間づくりを目指したものです。
間取り変更などの工事を実施しないのなら、そこまで微細に神経を使うこともないかもしれませんが、工事を機に二室を一室に広くしたりするのであれば、天井・床・壁のいずれにも手が加わります。
工事前の点検段階で床の不陸、軋み音(床鳴り)、たわみなどを感じたら、ケチらずにしっかり直しましょう!工事の目的は入居者の快適性の追求、その結果として家賃収入があることを忘れてはいけません。
7-2 口癖のように「予算がないからやらない」と話す大家さん
日頃、賃貸の空室解消策としてリノベーションや修繕を大家さんにご提案する場面が多いのですが、「予算がないからやらない」とか「そこまでかけると採算が合わない」などと おっしゃる大家さんがとても多いです。
お気持ちはわかりますが、空室を解消するために人気の部屋に生まれ変わらせようとしているわけで、部分的な工事で目的が達成されることはありません。
現場の第一線で入居者のリアルな反応を知る不動産賃貸のプロとして、また大家さんの資産運用のパートナーとしてのわれわれの提案には、無駄な提案はありません。
もっと言えば、これだけ直せば大丈夫!という内容の工事を提案しているので、そこを予算の都合で中止するという次元にならないわけです。
不動産賃貸市場は、人口減少に伴ない空き部屋がどんどん増えています。成功している大家さんと、そうでない大家さんの歴然とした違いは、このような考え方の差にあると感じています。
また、賃貸のリノベーションは単身者向け物件とファミリー層向け物件では、計画自体が異なります。
実際に入居されるお客様のことを想定して、気に入られるようなお部屋づくりのノウハウは、われわれも一朝一夕に体得したわけではなく、数多くの経験と実績から学びました。
こうして自社で不動産を取得して貸家にする展開は、長年にわたり蓄積された実践ノウハウを活用し“理想の大家さんを目指す”チャレンジでもあるのです。
8.内装デザイン選定のポイント
8-1 賃貸住宅の内装仕上げは、まず入居者を想定することから...
自身の住宅であれば、好みのデザインテーマを決めてしまえば簡単なですが、アパートや貸家などの賃貸住宅では、あらかじめ「この物件に住むのは、どんな方になるのだろう?」の予想から始めます。
ワンルームや1LDKなどの単身者向け物件、また2LDK以上の間取りがある貸家などのファミリー層向け物件では、デザインテーマを変えていかなければなりません。
その理由のひとつには、単身者向け物件においてはご入居されるご本人が意思決定を行ないますが、ファミリー層向け物件ではご主人や奥様のほか、場合によってはお子様たちの意見が意思決定に大きく影響を与える場合があるからです。
最先端の流行を取り入れたカッコイイ部屋も、その色使いやデザイン性によっては、ファミリー層には“どん引き”される恐れがあります。
また、男性をターゲットにするのか、女性をターゲットにするのかでもデザインを変えていかなければなりません。コンセプトと実際のデザインにミスマッチが生じてしまうと、せっかくリノベーションしたのに入居者が決まらない物件になってしまうので注意が必要です。
なにしろ、お部屋を内覧されたお客様に『ここに住みたい!』と思っていただくためには、“ワクワクドキドキ感”を抱いていただく必要があるのです。
万人受けするようなオーソドックスな仕上げでは、この“ワクワクドキドキ感”は生まれません。空き部屋が多い昨今、常に競合する物件と比べて優位な状況を保っていられるかどうかを意識しておきましょう。
8-2 コストを抑えつつ、この広い庭をどう活かすか!?
写真左の外壁面から右のウッドフェンスまでの距離はおおよそ6m。南に広い庭があるおかげで、1階リビングの日当りに恵まれた家です。
ところが、この広い庭をどう扱うか、結構悩みました。
構想としては、自然のままの緑を残しつつ、晴れた日には屋外でくつろげるようなプライベートスペースにしたいと考えています。例えば、バーベキュースペースを作ってみることも考えましたが、工事費が膨らみすぎます。
結局、植栽については枝が隣地境界線を超えてしまいそうな木は伐採してスッキリさせ、2本程度を残しました。この庭には良い黒土があるので、花壇や菜園が楽しめるスペースの確保だけにとどめておきました。
9.私流、内装仕上げ材の決め方
この物件は間取りが4LDKで小・中学校に通学しやすい場所にあり、かつ建物に組み込まれた車庫(ビルトインガレージ)そして広い庭が付いているということもあり、入居者の年齢層として30代から50代くらいを想定しました。
そこで、ポップな色やビタミンカラー的な色の採用はやめ、明るさと落ち着いた感じの色合いでコーディネート。
壁や天井クロスはAAクラス(1000番台)の耐久性の高い材料を採用しましたが、一番予算をかけたのが床の仕上げ材です。パイン材の風合いがあるフロアタイルを採用しました。
床は人の身体が触れる部位なので、安っぽいものを使うのではなく、高級感とおしゃれさと耐久性を兼ね備えた素材を使用します。
賃貸住宅でも中古住宅として販売する場合でも、床材によってお客様の反応が大きく変わることを覚えておいてください。
部屋ごとに内装をアレンジする場合も家族構成を想定して
この写真は2階の洋室。
子供室として利用されるであろうことを想定し、ヴィンテージ風の壁紙を採用しています。男子にも女子にも喜んでもらえそうな雰囲気にしてみました。この部屋の床もリビングと同様に、あたたかみのあるパイン材の風合いを活かしたフロア-タイルで仕上げました。
フロア-タイルはCFシートに比べ、㎡単価で2倍強の価格差がありますが、傷がつきにくく質感も良いので入居者の評価はすこぶる高いです。
実際に、フロアータイルを施工した部屋では、内覧時のお客様の反応も良く、入居の決め手になることも多いので、当社所有の賃貸アパートではすべてフロアータイルを採用しています。
10.ついに完成、ビフォーアフターでご紹介!
待ちに待ったこの日。すべての改修工事が終わったところで、ビフォーアフター風にご紹介します。
①リビング(居間)
1階の8帖と6帖の洋室の間仕切り壁を撤去して、リビングらしく広い空間に。床下の防湿対策や床組みの不陸調整も実施。
そして、床の仕上げは敷きこみカーペットからお掃除しやすいフロアータイルに変更しました。
②主寝室
主寝室は、落ち着いた雰囲気の内装にするために天井クロスは色のやや濃いものに。
また、リビング同様敷きこみカーペットをやめ、フロアータイルに変更しています。
③キッチン
傷みのひどかった床CFシートをフロアータイルに変更。キッチンの蛇口を新品に交換、また壁の一面にアクセントクロスを使用しています。
④2階洋室
古めかしく昭和の香りが漂う洋室に、ヴィンテージ風クロスを貼りおしゃれな感じに。
⑤2階和室
当初は、和室を洋室に変えようと考えましたが、既存の床柱をいじるとなると大掛かりな工事になるので、カラー畳や照明器具、そしてクロスの使い方を工夫してオシャレ感のある和室に仕上げました。
⑥屋外庭
同じものが無い不動産。だからこそ、広告も物件ごとに作りこむ。
これは賃貸も売買も考え方は同じです。
そこにしかない、同じものが無い不動産。その物件がもつ特性を長所も短所も含めて、的確に正しくお客様へ伝えるのが仲介業の仕事。
ところが、ポータルサイトの定型フォーマットに沿った登録では、残念ながら魅力を伝えきれないのが現実です。写真の枚数や記載する文章に制限があることがネックとなっています。
だから、ファインエステートでは不動産の一物件ごとにカタログを作る感覚でホームページを作ります。
ファインエステートの賃貸物件一覧を見る>>>
現在はご入居中のため、詳細情報はお見せすることはできませんが、入居募集用の専用ページのキャプチャー画像でご紹介します。
12.わが社の戸建て不動産投資は、紆余曲折あるも、ようやく成約に。
収益物件として取得した自社物件第2号は、紆余曲折ありましたが、おかげさまでようやく借主様との契約締結を迎えられました。
第1号の貸家は、繁忙期真っただ中だったためか、プチリフォーム後にすぐに決まりましたが、第2号は成約というゴールを迎えるまで、予想外に時間がかかりました。
築古戸建てをリノベして貸家に再生したチャレンジを総括してみる
ここで、あらためて、この物件のおおまかな概要を紹介すると次のとおりとなります。
1)増改築など定期的にリフォームされた建物であるが築年数は52年の5LDK。
2)住宅設備については、多少の古さは残るものの、まだまだ使用に耐えられる。
3)車高の高いSUVが停められる車庫や3帖大の物置が付いている
4)建物の南には、バーベキューをしたり、小さなお子様を遊ばせることが可能な広い庭がある
当初はハウスクリーニングを主体に、できるだけ改修工事に費用をかけないで5万円台で募集することも頭によぎりましたが、“古臭さ”や“汚さ”は入居に大きな障害となることが予想されたので、内装のリフレッシュを中心にリノベーションを行ないました。
具体的には、1階に細かく間仕切られたふたつの部屋をつなげて、広いリビング空間を作ってみたり、照明器具や水栓金物の新品交換、庭を快適に使っていただけるよう庭木の伐採などなど、思い切って250万円ほど掛けたわけです。
5月の大型連休前にリノベーションが完了し、連休明けから家賃85,000円で入居募集を開始するも反響はいまひとつ。途中で映画製作会社さんが短期で借りてくださったので正味4ヶ月間は賃料収入の無い空室期間が続きました。
さすがに9月に入り、『この秋の引越しシーズンのうちには入居を決めておかなきゃ』という焦りがあったので、募集条件をペット飼育OKの73,000円に改定。
これが功を奏して、ようやく9月の下旬に入居申込みが入ったわけです。
ようやく成約を迎えホッとしましたが、反省点としては次の通りです。
成約までに時間がかかってしまった原因としては、最初の賃料設定85,000円は築年数とのバランスから見ると、市場とのミスマッチでした。賃料を適性値に改め、ペット飼育OKという付加価値をつけたことで、募集条件変更後はすぐに決まりました。
おかげさまで入居年数は3年を超え、改修工事費用はすでに回収しました。アパートやマンションと違い、貸家は気に入っていただけると長く住んでいただけるので、この点も戸建て賃貸経営のメリットかと思います。
決まる商品づくりのコツを究めたい
これまでわが社は不動産仲介業を通して営業力や広告力を磨いてきましたが、いざ自らが貸主=大家さんの立場になってみると、あらためて商品力(決まる商品づくり)について考えさせられ、まさに貴重な体験をさせてもらった気がします。
空室が大量に余っている昨今、普通の修繕や普通の入居募集で決まるほど、賃貸経営は簡単ではありません。
ここでご紹介したわが社の体験談が、皆様の戸建て賃貸経営の参考にしていただけたら幸いです。私どもも、今回学んだことや経験を生かして、さらに不動産賃貸業を究めていきたいと思います。
関連した記事を読む
- 2022/01/28
- 2022/01/04
- 2021/12/23
- 2021/12/17