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2018年11月09日
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不動産売買における「現状有姿」と「売主の瑕疵担保責任」について教えてください

不動産広告や宅建業者からの説明で、「現状有姿渡し」という言葉を見たり聞いたりしたことはありませんか?

取引の場面でよく出てくる言葉ですね。文字通りに、現在あるがままの状態や姿で物件を引渡すという意味ですが、実は業界全体を見回しても正しく理解・運用されているケースはまだまだ少ないように思われます。

正しい解釈が求められる「現状有姿」という言葉

「あるがまま」というのは見た目の問題という意味ではありません。今日はわかりそうでわかりにくい「現状有姿」と「売主の瑕疵担保責任」について、事例を交えて述べてみたいと思います。

例えば、中古住宅売買のケースで、住宅の熱源として、この地域で一般的に使われている「給湯ボイラー」を例に考えてみましょう。

通常、買主は購入対象に付帯している設備については、特段の説明が無いかぎり正常に使えるものと考えます。あたりまえのことです。そこに不具合があるとか、最近故障がちだとか、そろそろ部品交換が必要だとか、あらかじめ説明を受けていなければ知る由もなく、誰だって正常に作動するものだととらえます。


さて、一戸建てを購入した買主さんは物件の引渡しを受け、実際に入居してみたらボイラーが使えない。専門業者に診てもらったら故障が判明しました。そこで仲介業者を通じて売主さんに確認することにしました。


ところが、この不調に対して売主さんや仲介業者が「そんなのは知らんよ。現状有姿でしょ?」という対応をされてしまいました。(実は、こんなふうに平然と答えてくる方がまだまだいらっしゃいますが、これでは買主さんが少し気の毒です。)

現状有姿とはあるがままの状態で引渡し、修理や補修が必要なときは買主が負担する。売主に保証や請求を求めない。...ということですが、買主に誤認や勘違い、過度の期待をさせないためにも、適切な状況報告を心掛けましょう。

自身が売ろうとする不動産(既存住宅や土地など)に対して、今回の例で言うと、ボイラーの不調に気付いているなど現況をきちんと把握して、それを買う方へしっかり伝える(告知する)ことをすれば、こういうトラブルを未然に防ぐことが出来ます。

 

売主の瑕疵担保責任について

「瑕疵(かし)」とは、通常、一般的には備わっているにもかかわらず本来あるべき機能・品質・性能・状態が備わっていないこと。つまり、買主が引渡しのときに気がつかなかった不具合や欠陥のことを言います。

 

これは、売主に過失がなくても売主は責任を免れることは出来ず、それを知らなかった買主を保護しましょうというのが法の精神ですから、不動産を売却する際は、まずは売主ご自身で注意深く観察しつつ、専門家に相談し事前にしっかり調査してもらいましょう。特にしばらく空き家にしていた物件には注意が必要です。

不動産契約書にしっかり記載することでトラブル回避

買主の値引希望額が大きかったために、売主は建物診断や設備点検を実施せずに、まさに現状のまま売り渡すという取引も実際にあり、これはこれで有効です。

但し、この場合は、売買契約書中に「売主は瑕疵担保責任を負わない」という記載をしっかり書いておくことが大事だということを覚えておきましょう。

あらかじめ買主に説明していれば隠れた欠陥とは言えない、つまり顕在化した欠陥はもはや瑕疵でなく、十分な説明を尽くした上で買主に納得して購入していただいているので、結果的に売主は瑕疵担保責任を負わなくても済むということになります。


逆説的に言うと、その特約があった場合でも、売主が目的物に問題があることを契約前から知っていて、それを買主に告げなかったときは「売主は責任を負わなければならない」ということになるので注意しましょう。



一般的に、中古住宅の不動産売買契約において、売主の瑕疵担保責任は屋根や柱、基礎などの主要構造部や基本性能に関わる欠陥(例えば、雨漏りや漏水など)が対象となります。ほとんどのケースでは、キッチンや洗面化粧台ならびに給湯器や冷暖房機等の機械設備は、付帯設備のため保証を負わないことが多いのではないでしょうか。

 

ところが、現状有姿という言葉の捉え方については、売り手と買い手に温度差があり、それぞれに都合の良い解釈をされてしまう恐れがありますので、仲介する宅建業者は、この現状有姿について丁寧に説明することを心がけましょう。同時に、売主においては、良縁で結ばれたはずの不動産取引において、引渡し後の無用なトラブルを避けるためにも、建物や設備について不具合や欠陥があれば、知っていることは包み隠さず仲介業者を通じて買主に告知しましょう。

 

物件状況確認書(告知書)は、トラブル防止の重要な役割を果たす書面です。

仲介業者として、当社でも常に細心の注意を払い心掛けていることは、入念に物件の社内点検を実施すること、また時には有償となりますが建築の各専門業者の協力のもと契約締結前に十分な調査を行ない、契約時に物件状況確認書(告知書)という書面を交付し買主に現在の状況を丁寧に説明します。

お互いに気持ちよく、円満な取引をするための心構えとして、不動産営業取引の現場を担当する者から、売主さんに対しご理解とご協力を切に願うのであります。
この記事を書いた人
藤原 滋己 フジワラ シゲキ
藤原 滋己
ハウスメーカー勤務時代に、木造住宅の工事監督のちに住宅・アパート・店舗・寺院など様々な建築物の営業を経験しました。建築不動産の営業歴は通算22年。 安心かつ安全な不動産取引のために、これまで培ってきた知識や経験・ノウハウを、お客様へのサービスのために全力で提供します。遠慮なく何でもご相談ください。きっとお役に立ちます。
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