借地権付建物を売却か賃貸か? 出口戦略を、函館市の不動産業者が解説します。
「親が施設に入り自宅を使う人が誰も居ない」、あるいは「実家を相続したが、自分には住む家があるので処分したい」。
そんなときに、もしも土地が借地だったらどうなるのでしょうか?
借地上にある自己所有の建物、つまり借地家付建物の処分や運用の方法について、函館市の不動産業者が解説していきます。
借地権付き建物とは
建物所有を目的とする他人の土地の利用権には、地上権と土地賃借権がありますが、借地借家法で「借地権」とは、建物所有を目的とする地上権または土地の賃貸借のことです。
借地権付き建物とは、借地人(土地賃借人)が所有する借地上の建物のことを言います。
出口戦略1:建物を取り壊し、更地にして地主へ借地を返還する
もっともオーソドックスな方法ですが、借地上の建物の解体工事費用が大きな支出となってしまいます。
地主が更地での返還を求めている場合、更地にして返還することが多いです。
既存の建物を取り壊して、借地契約を終了。早めに地主に返還してスッキリできます。
煩わしい思いをしたくない方には、この方法もおすすめします。
出口戦略2:第三者に売却する
あなたが所有されている建物と合わせて、借地権を第三者に売ることが可能です。
借地でも建物を買ってくれる人なんているの?
とお思いかもしれませんが、100人いれば100通りの人生プランがあります。
賃貸暮らしをするより、経済的なメリットがあると考えられる方も、世の中にはたくさんいらっしゃるのです。
但し、地主の承諾が必要なため、あらかじめ地主に売却する予定であることを伝え、あたらしい借地人(買主)に対する地代金や権利金等に関わる諸条件を確認しておく必要があります。
建物を取り壊して更地にして地主に返還することに比べると、解体工事費の支出が無くなるので、欲張った価格設定をしない限り売却が可能です。
第三者に売却することは、借地人や地主それぞれに次のようなメリットがあります。
<借地人のメリット>
・既存建物の解体・取り壊し工事費用の支出が不要である。
・まだまだ使用できる建物を、売買譲渡により新たな所有者に使っていただくことで、社会的経済性に貢献できる。
<地主のメリット>
・継続的に地代金収入が見込める
現代では借地に家を新築する人がほとんど見込めないため、住宅街の借地は返還されてしまうと収益が上がらなくなってしまいます。
地主が自己使用する場合を除き、住宅街では月極駐車場として提供したとしても、契約者はごくわずかです。
借地上の建物を取得したあらたな所有者から、引き続き地代金収入が上がるほうが良いという考えです。
当社でも年間で3~4件、借地権付き建物の売却相談を受けて媒介しますが、早期に成約に至ることが多いです。
なお、応用編として、地主と共同で土地と建物を第三者に同時売却する手法もあります。
出口戦略3:借地上の建物を地主に売却(譲渡)する
建物が利用可能かどうか、つまり貸家としての運用が可能かどうかの地主による判断が必要です。
賃貸することを想定した場合、多少のリフォーム費用で再生(再利用)できるか、あるいは大規模なリフォーム費用が掛かるのかが、地主にとって購入可否の判断基準となります。
地主に売却する場合は、小額で引き取ってもらうことが一般的です。
自身で建物を取り壊さなくて済むだけラッキーだと考えましょう。
出口戦略4:建物の所有を続け、貸家として家賃収入を得る
この方法は収益運用の考え方です。
老朽化によりリフォーム費用に大きな支出が予想される場合は、採算性が悪いので貸家にするという選択肢はなくなりますが、手入れの行き届いた家である場合は、貸家として運用し収益を上げていく方法があります。
集合住宅(共同住宅)の空室率は増加の一途を辿っていますが、戸建の貸家は供給不足から需要の方がまだまだ大きく、ビジネスチャンスがあります。
このように、借地権付建物は処分や運用という多角的な視点から分析すると、単に建物を取り壊して地主に借地を返還するだけでなく、売却や賃貸運用という複数の選択肢があることをご理解いただけたと思います。
皆様それぞれの家庭事情や置かれている状況、また物件の不動産特性を踏まえて、最良の選択がなされることを切に願います。
ご参考にしていただければ幸いです。
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