ホームインスペクション義務化で中古住宅売買はどう変わる?
この宅建業法改正は、不動産の知識がない一般ユーザーが安心して中古住宅を購入できるよう、中古住宅の流通・促進と市場の活性化を目指すもので、国は建物状況調査(ホームインスペクション)や瑕疵担保責任保険加入を促し、中古住宅市場の活性化を図る重要な住宅政策として推進しています。
さて、今日は建物状況調査を実施する売主の立場にスポットを当てて書き進めていきます。売主はどんな影響を受け、またどんなメリットがあるのか。いま一度確認してみましょう。
ホームインスペクションにおける売主のメリット
インスペクションの概要や利用者のメリットについては、前回ブログで解説しましたが、ここでは売主のメリットを確認しましょう。
1)引渡し後のトラブル回避
良縁に恵まれた取引だったはずなのに、引渡し後に欠陥や不具合の発見によりトラブルが起きてしまっては、精神的にも金銭的にも痛手は大きいもの。このような事態の防止、回避につながります。
2)競合物件の差別化が図れる
購入希望者に安心感を与え、インスペクションを実施しない他の売却物件と差別化が図れます。
3)診断で見つかった不具合を補修してから売ることで、売却後の安心につながる。
築年数が浅い、または保守状況の良好な建物においては、インスペクション実施後に売主が不具合や劣化事象を修復したのちに売却することで、スピーディな成約が期待できます。
売主が知っておくべきホームインスペクションの注意事項
①実は、ホームインスペクションには有効期間がある。
売却価格が実勢相場である場合は心配に及びませんが、土地が広いあるいは建物規模が大きいがために、総体価格が高くなってしまったとき、すぐすぐ購入希望者が現れるとは限りません。
せっかくインスペクションを実施したのに、一年が経過してしまい有効期限がすぎてしまっては残念なことに。
経年劣化も日々進行するものですから、できれば購入希望者が現れた時点で、現在状況をきちんと把握するほうが理にかなっていると言えます。
②ホームインスペクション実施には売主の承諾が必要
インスペクション実施には建物所有者(=売主)が立ち会うことが一般的です。
売主が自主的にインスペクションを実施する場合は特に問題ありませんが、購入希望者がインスペクションを実施すると希望された場合、快く承諾して差し上げましょう。
万が一、売主がこれを拒むと、「建物に何か問題があるのかも?」、「欠陥を知られたくないに違いない」といったマイナスな憶測を呼び、結果的に売ることが困難になるリスクがあります。
③ホームインスペクションの実施費用は誰が負担するのか?
調査結果によっては購入を見送り(断念)される場合も考えられます。売主としても調査報告書を手元に残しておきたいと考えられるなら、費用負担については購入希望者と協議してみるのも方法でしょう。
④建物状況調査ができない!?そんな事態にならないように。
これでは調査自体が買主の納得を得られず、商談が進展するとは思えません。ご入居中で家具や家財道具が多くある状態では、十分なインスペクションが実施できない恐れがあります。正確には再調査が必要ということになり、追加費用がかかる可能性も。
購入希望者はインスペクション実施にととまらず、その調査結果を踏まえて「既存住宅売買瑕疵保険」に加入することを想定していることが多いので、円滑に調査できるよう配慮が必要です。
⑤日頃から住宅をよく手入れされている売主にはチャンス到来!?
建物状況調査は劣化事象についても部位ごとに細かくチェックしていきます。塗装や防水工事、傷みのある建材の取替えなど、日頃から良く手入れされていれば専門調査技術者が正当に評価します。
見た目でわかりきっていると思えることでも、調査結果報告書にきちんと記録されることは購入希望者の安心につながります。
建物状況調査(インスペクション)については、法施行前で業界全体が経験もノウハウもないことから、今後少しずつ知識や対処法が積み上げられていくことでしょう。
ぜひ、売主の皆さんも建物状況調査(インスペクション)をポジティブにとらえ、中古住宅売却時に積極活用していただきたいものです。
「初めて中古住宅の建物状況調査(インスペクション)を経験した感想と得られたもの」
「建物状況調査(インスペクション)の普及で中古住宅市場は拡大するのか!?」
不動産の高値売却は緻密な戦略があってこそ成就する!成功体験を徹底解説した人気記事のご紹介
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