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2018年11月05日
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土地の境界線付近に隣地の越境物。トラブル解決のための実践対応。

不動産取引における紛争の中で、実に多いのが境界線をめぐるトラブルです。その中には境界が不明確なために起きる争いがありますが、これに関しては、不動産を売却または購入する際に宅建業者に相談・監修のもと、測量会社(土地家屋調査士)に依頼し、しっかり現況測量(実測)してもらうことをおすすめします。

 

境界確定のための測量の話は、また別の機会にするとして、今日は越境物に関するお話をします。

越境物、あるいは支障物件という呼び方もしますが、これにはおもに次のようなものがあり、対象物ごとに対応方法が異なります。

越境物への対応法は地域性が関係します。例えば、権利異動(売買)が頻繁に行なわれる東京と函館のような地方都市では全然違います。ここでご紹介するのは、当社が営業する函館が舞台の話ですから、地域性を考慮して読んでくださるとありがたいです。

①塀(木塀、コンクリートブッロク塀、ネットフェンス等)の越境

 昔は、隣人同士で工事費用を仲良く分担して、境界線を中心に塀を設置することが多かったようです。当時は現代と違って、境界線をめぐるトラブル自体がほとんど無かった時代ですから、それでよかったのでしょう。古き良き時代ともいえますね。

 ところが、この話も現代に置き換えると、「境界を越境」する支障物が存在することになるわけですから、売主の義務としてしっかり調査したうえで買主に説明しなければなりません。(実際には宅建業者が行ないますが。)
 

 まずは初期段階、つまり宅建業者の物件調査で把握できれば良いのですが、中には測量会社に調査してもらわないと正確なことがつかめない場合がありますので、オーナー様は「よし、不動産を売却しよう」と決めたら、実際に売り出す前に実測して現況を把握しておくのがベストですね。境界について、誤った説明を避ける意味でも。

 

 先に測量費用(経費)を支出することを嫌い、「買い手もついていないのに実測するのは嫌だ」という方がいらっしゃいますが、買い手の立場になればそういう考え方にはならないはず。不動産に限らず、購入を決めた後から“その商品(不動産)のマイナス情報や欠陥・不具合を聞かされるのは誰でも嫌なものです。”ご縁があって取引するわけですから、気持ちよく進めたいものです。話がそれて、売主の心構え的な話をしてしまいましたが、本題に戻ります。



 このような塀の越境があった場合、函館では「越境に関する協定書(覚書)」に当事者双方が書面に調印します。当事者というのは、越境している側とされている側のことです。期限のない紳士協定みたいなものですが、将来それらの工作物に手をかける(工事する)機会があったら、そのときに境界線内におさめて健全な状態に戻しましょうという約束を取り交わします。もちろん越境の度合いによりますが、5センチ、10センチ越境しているからと言って「大勢には影響がない」という買主の寛容な心に救われているといっても過言ではないでしょう。

 

 越境に関する協定書については、過去ブログの「土地の境界標確認と越境物調査、そしてその解決法。」 でご紹介していますので、興味のある方はチェックしてみてください。
 

 但し、「塀が倒壊して、こちら側に倒れてきそうだ」という状況なら、悠長なことも言っていられません。仲介する宅建業者にお願いして、支障物件所有者に対して上手に交渉してもらうよう依頼してみましょう。

②樹木(植栽)の越境

民法では竹木の越境に関して、枝と根を別々に規定しています。

 

竹木の枝が境界線を越えている場合


 隣地の竹木の枝が境界線を越えているときは、その竹木の所有者に剪定を申し入れることができます。しかし、少しでも越えたら剪除を請求できるのかといえば、どうやらそうではないようです。

 例えば、境界を越えた枝からの落ち葉で雨樋が詰まって屋根を痛めたといった損害が大きな場合などは、当然に隣人に申し入れできるのでしょうが、そうでもないかぎり権利濫用と主張されてしまうこともありそうです。

 

 ここで気をつけなければならないことは、竹木の所有者に剪除を申し入れできるのであって、勝手に切ってはいけないので十分に留意してください。

 

竹木の根が境界線を越えている場合


 民法では、枝と異なり、根の場合は竹木の所有者の承諾なしに切ることができるとされていますが、相手方からすれば「ひと言話してくれたら、造園業者に依頼して移植したのに、無断で切ったあなたのせいで竹木が枯れてしまった」などと、損害賠償の責任を負うこともありえるので、十分に気をつけましょう。

 
 ご近所付き合いを考えて、円満に話し合うという前提で申し入れを行なう姿勢が大事ですね。

 

 

③地中を横断する隣接地所有者(他人)の給排水管の越境

 これは地中を横断しているので、現地を目視したからといって分かることではありません。自治体の水道局(課)で給排水管の敷設図を取得してみたら、自分の敷地を横断していることを初めて知ったというパターンです。

 前面道路の配管敷設図ではなく、民地の敷設状況を図面で確認しないとわからないことです。不動産を売却または購入する場合は、ここも気をつけておきたいところです。

 

 さて、例えば気に入った物件を購入する際に、対象物件に隣接地所有者の私設給排水管が地中横断していた場合で、例えば中古住宅として買う場合と、家を新築するつもりで買う場合とでは対応法が異なります。

 

中古住宅として購入する場合


 他人管が自分の土地を地中横断しているからと言って、すぐに何かの問題が起きるとは考えられません。もしも、何かが起きるとするならば、埋設されている水道管が破裂して水が噴出すことなどでしょうか。そう考えると気になり始めますが、現況、敷地のどこを横断しているのかを理解し、工事のメンテナンスで業者さんが自分の敷地に立ち入ることがあったとしても、さほど困らないようであれば現状を是認(容認)する形でよろしいかと思います。そもそも、以前の所有者の承諾があって、地中を横断させてもらったのでしょうから、そこは継承してあげる気持ちで。前所有者から「越境に関する協定書」が引き継がれていない場合は、あらためて作成しておきましょう

 

家を新築するために購入する場合


 この場合は、前述の中古住宅を購入する場合と大きく前提が変わります。

 なぜなら建物の基礎工事を行なうために、重機で土地を掘削するからです。土木業者が根掘り(掘削)する際に、重機で誤って給排水管を引っ掛けてしまう可能が大きいので、工事に入る前に隣接地所有者と協議して前面道路本管からの他人の土地を横断しないような形で引き込直してもらうか、またはそれが無理なら基礎工事や工作物設置に支障がでないように引込ルートを変更してもらいましょう。

 

 

④隣接地建物の越境

 隣接地所有者建物の屋根の一部(軒)が越境している場合や建物本体が越境している場合があります。

 いずれも中古住宅を購入しようとする物件の隣接地がこのような状況である場合で、買主ご本人が容認できる状態であれば、「越境に関する協定書」の取り交わしでいいでしょう。

 

 しかしながら、家を新築する場合に隣地の越境物があるとするならば、簡単な問題ではありません。なぜならば、建築基準法には「ひとつの敷地にひとつの建物」という大前提があり、わかりやすく言うと、一つの敷地に二棟の建物を建てることは出来ないという意味です。

 つまり、自分が建設しようとする敷地に、隣接地の建物本体や屋根の一部でも越境しているとひとつの敷地にふたつの建物が存在することになってしまい、これにより「確認申請」または「完了検査」に合格しないというリスクを負うことになります。


 完了検査に合格しなければ銀行の住宅ローン融資が受けられなくなるなど、その影響(損害)は甚大です。実務的には、確認申請用の敷地を云々という手法があるので対処は可能ですが、家を新築される買主様ご自身が苦労されないよう、宅建業者の腕の見せどころかもしれません。

 屋根の一部であれば工務店さんに依頼してカットしてもらうことが可能ですが、建物本体が越境ということであれば、土地を分割して売買する方法もひとつでしょう。なお、この越境が原因による土地の分割については、慣例的に越境している者に測量費用を負担していただいています。

 

 以上のように越境にも様々な対象があります。

 もちろん、あるべき姿、健全な状態に戻してもらいたいという越境されている側のお気持ちはとてもよくわかりますが、あくまで相手のあること。

 今後のご近所付き合いを円満にすることが何しろ大事なことですから、懐を広くかまえ寛容な気持ちで交渉しましょう。皆様が抱える土地の越境問題が、スッキリ解決できることを切に願っております。

 

越境対応のまとめ

1)境界標を以って境界線の位置確認を行ないましょう

2)越境度合いが大勢に影響がないのであれば、

 ①「越境に関する協定書(覚書)」で対応しましょう もしくは

 ②何も働きかけないことも選択肢のひとつです

3)越境が深刻な場合は、相手方に

 ①土地を分割して譲渡する(越境自体が根本的に解消される。この場合の測量費は越境している側が慣例的に負担している)、もしくは

 ②塀など工作物の修補をお願いしてみましょう

4)今後のご近所付き合いも踏まえて、隣接地所有者には敬意をもって、ソフトにしなやかに交渉にあたりましょう

 

 

この記事を書いた人
藤原 滋己 フジワラ シゲキ
藤原 滋己
ハウスメーカー勤務時代に、木造住宅の工事監督のちに住宅・アパート・店舗・寺院など様々な建築物の営業を経験しました。建築不動産の営業歴は通算22年。 安心かつ安全な不動産取引のために、これまで培ってきた知識や経験・ノウハウを、お客様へのサービスのために全力で提供します。遠慮なく何でもご相談ください。きっとお役に立ちます。
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