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2020年03月08日
不動産売却の知識とノウハウ

不動産売却の流れ|売主の注意事項を査定依頼から引渡しまで工程ごとに解説

土地や一戸建て、マンションなど不動産売却の流れを時系列に解説します。

また、売主として何をすべきかという点についても言及し、はじめての不動産売却において実践に役に立つように注意点を紹介しています。

 

1.売却相談・査定依頼

不動産売却の流れの第1ステップは、売却相談・査定依頼の場面です。

 

不動産会社との初回面談では、まずは売主の売却計画や意向を伝えましょう。

その理由は、売却対象の不動産がこれまで「セカンドハウス」として使用されていた、「収益不動産」として運用してきた、あるいは「自宅」として居住していたかによって、不動産会社は助言する内容や販売活動のやり方、査定計算の仕方が変わるからです。

 

また、この段階で、不動産会社の特徴や提供するサービスで他社と違う点などを説明してもらいます。営業担当者が好感がもてるか、信頼できるかも踏まえて、次のステップとして「その会社に査定を依頼するかどうか」を判断します。

 

特に、不動産会社が提供するサービスの特徴や強み、他社との違いについては納得いくまで質問することをおすすめします。

 

一般媒介や専任媒介に関わらず、「依頼した不動産会社は失敗だったかなぁ...」とお思いになる方は、この作業を怠ってしまった可能性がありますので、心に留めておきましょう。

 

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2.不動産物件の調査

不動産売却の流れの第2ステップは、不動産物件の調査です。

 

査定対象となる土地や建物、マンションについて、不動産会社は現地(物件)調査、交通機関や周辺利便施設の調査法務局役所(建築行政課)調査、そして売主への聞き取り調査を行ないます。

 

調査は、目視で確認できる顕在化されたこと以外にも、上下水道本管や都市ガス配管、また用途地域などの都市計画に関わる法令上の制限や、権利関係の調査、周辺の売出し事例、成約事例などを多岐にわたります。

 

一般的に、この調査には数日かかりますが、査定価格に影響を与える要因であるため、不動産会社はヌケやモレが無いよう念入りに調べます。

 

3.査定報告書の提出と売り出し価格の決定

不動産売却の流れの第3ステップは、査定報告書を売主に提出し、売り出し価格を協議します。

 

不動産会社は、前項の調査結果をまとめ査定報告書を作成します。

査定額は、「物件の個別要素」、「売主の個別事情」、「不動産会社または担当者の補正率要素」によって決定されます。

 

物件の個別要素とは、不具合や欠陥また事件・事故性があった場合は減額さえ、すでにリフォームなどを実施してグレードアップした部分があれば増額するといったことです。

売主の個別事情の中には、ローン返済に関連しての任意売却や、相続税支払い用にすぐに売却して換金したい、あるいは離婚による財産分与などの事情を言います。

不動産会社(担当者)による補正率要素とは、人気があるかないかを判断する需給予測や買い求めやすい金額がどうかによる市場流通性、過去の成約経験値に基づく値ごろ感、販売中の競合物件の動向などを言います。

 

これらを総合的にまとめたものが、不動産査定報告書です。

査定金額をひとつの基準とし、不動産会社と売主で協議し、最終的に売出価格を決定のうえ販売活動のステップへ移ります。

 

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失敗例から学ぶ、不動産査定額と売り出し価格の決め方。

 

4.媒介契約の締結


不動産売却の流れの第4ステップは、不動産業者と媒介契約を締結します。

 

売却を依頼する場合は、売出価格や条件面を決定(整えた)うえで不動産会社と「媒介契約」を結びます。

これは宅建業法で定めらているもので、売主から売却の依頼を、買主から購入の依頼を受けるときに交わす委任契約のことを言います。契約期間は3か月間です。

この媒介契約は、「一般媒介」と「専任媒介」、「専属専任媒介契約」の3種類にわかれます。
専属専任媒介契約は、こちらを選択される頻度は低いと思われるので、一般媒介と専任媒介に絞って、それぞれの特徴やメリット、デメリットを見てみましょう。

1.一般媒介契約

①特徴:
売主は複数の不動産会社に依頼できる。不動産会社はレインズへの登録義務、また売主への販売活動報告の義務はない。

②メリット:
・不動産会社同士に競争の原理が働く
・一社に任せた相手不動産会社選びが失敗した場合の保険として、複数社に依頼しているとリスク分散ができる。

③デメリット:
・不動産会社が熱心に動いてくれない。
・競争の原理がマイナスに働き、スピード優先で広告づくりがおろそかになる。
・買い手となりそうな見込み客が各社同時に現れた場合、その交通整理は売主自身が行う。(一番手がいい?値引きなし客がいい?本心では、あの人に買ってもらいたいetc)

 

2.専任媒介契約

①特徴:
売主は不動産会社1社だけに売却を依頼できる。
・売主は自分で探した相手を買主として契約が可
・不動産会社はレインズへの登録義務あり(一週間以内)
・不動産会社は二週間に一回以上、売主に対して販売活動の状況報告義務がある

②メリット:
・売主は依頼した不動産会社とコミュケーションを図り、買い主選びに対する意向や意見など意思の疎通がはかりやすい
・物件の価値や魅力を最大限に引き出すために、販売方法や広告づくりにおいて、不動産会社とじっくり協議を重ね、完成度の高いものを作ることができる。

③デメリット:
・しっかり働いてくれると思った不動産会社が期待外れだったという結果も起こりうる。→この場合でも3か月後には媒介契約期間が満了となるので、ずっと悩まされ続けることはないでしょう。

 

一般媒介、専任媒介ともに一長一短はありますが、売主の性格や主義で決められるのが自然かと思います。

 

■一般媒介に向いている場合
売れる金額は安くてもよいので、とにかく早く売りたい
・売主自身が対人折衝や調整、交渉ごとに長けている
義理人情に左右されずに、人にドライに接することができる

 

■専任媒介に向いている人
・じっくり取り組み、ご縁を重視して良い人に納得の価格で買ってもらいたい
・会社選びや担当者への目利きには自信がある
・あちこちに声をかけるのは苦手。忙しくて、自分であれこれ不動産のことを考えている時間もない信頼できる一社を決めて、しっかり任せたい

 

なお、この媒介契約とは委任契約のことであり、媒介契約を結ぶからと言って費用が発生することはありませんので、ご安心ください。

 

 

【関連記事】

【自己診断シート付】一般媒介と専任媒介の違いと選び方。媒介契約はどれがいいの?

 

次に、媒介契約を取り交わしたら、いよいよ販売活動の準備に入ります。まずは、もっとも重要な「不動産広告づくり」のステップです。

 

5.広告の制作(当社独自サービス)

不動産売却の流れの第5ステップは、販売活動を始める前に不動産業者が広告制作の作業を行います。

 

不動産広告の制作は、内覧に結び付けられるかどうか、つまり不動産売却の成否をわける最も重要なプロセスになります。

 

具体的には、購入見込み客を想定し、物件の特性や価値を魅力的に伝わるよう、ウェブサイト上に対象物件専用のカタログページを作ります。

 

この不動産広告づくりの重要性に気づいていないせいか、ほとんどの不動産業者は広告づくりに力を入れていません。言い換えると、「不動産会社は買主を探すのが仕事。広告づくりはデザイナーの仕事で、われわれは広告制作費をもらってるわけじゃない」といった理由から、自分たちの業務外と思っているかもしれません。

 

とはいえ、もっとも大事なことなので、わが社の例でお話しします。

一眼レフカメラで撮影した写真をもとに、キャッチコピーや紹介文などのライティング(執筆)を行ない、物件の特性を活かし最大限の魅力を引き出す作業を行ないます。

 

正直に言って、この作業に10時間や20時間を費やすこともあります。

外注すると15~20万円程度かかる作業をすべて自社内で完結します。当社にご依頼いただいた場合の付加価値サービスであるため、売主は広告制作費の負担はありません。

 

社内で制作したページは、公開前に売主にご覧いただき、意見やご感想を伺い、加筆・修正等の作業を経て、完成形に仕上げていきます。

 

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6.販売活動の開始

不動産売却の流れの第6ステップで、いよいよ販売活動の開始です。

 

今や、不動産の売却はインターネットが主流ですが、不動産会社はおもに次のような販売活動を行ないます。


・指定流通機構(レインズ)への登録
・自社ホームページ売買専用サイトへの掲載
・不動産ポータルサイトへの掲載

・SNS(ブログ、ツイッター、フェイスブックページ等)への掲載
・新聞広告への掲載
・折り込みチラシの配布

・既存登録のお客様へのご紹介

 

7.販売活動状況の報告

 

一般媒介契約は報告の義務がないので、不定期ですが気づいたときに、また専任媒介契約は定期的に販売活動状況を報告します。

 

報告内容は、資料請求や電話問合せ等の反響状況内覧時のお客様から寄せられた感想や反応商談への進展があるかどうか、一戸建てや土地の場合は雑草の状況や不法投棄がないかどうかなど、現地で気付いた点などを報告します。

 

8.買付証明(購入申込書)の受理と売渡承諾書の交付

 

購入希望者から、希望する契約条件や契約締結予定日、代金決済予定日等を伺い、買付証明書を提出してもらいます。

この買付証明書をもとに、売主と意見調整し、売主からは売渡承諾書を交付していただきます。

買付証明書や売渡承諾書は裁判所の判例に出ているように、売買契約書とは違い法的な拘束力はありません。あくまでも、売買の合意成立に向けて、契約条件等の調整を進めていくファーストステップという位置づけです。

この書面の取り交わした後に、契約条件の調整やすりあわせを行ない、売買契約書類の作成に移ります。

 

9.重要事項の説明、不動産売買契約の締結

 

売主と買主が売買条件で合意すると、買主に重要事項説明を行なったうえで売買契約を締結します。

売主は、買主より契約時に手付金(代金の5%~10%程度が一般的)を受領し、署名・捺印して売買契約は成立します。

売買契約書面には、登記簿の内容と相違ないか、手付金など前金の金額、代金の支払い方法や引渡しの時期、特約事項など細かい項目が書かれています。

ご確認ご納得のうえ、署名捺印するようにしてください。

10.引渡しの準備

 

残代金の受領日までに、引越しや公共料金の精算などを済ませ、買主へ引き渡せる状態にする必要があります。

売主のお引越し手続きは、細々ありますので、一気にやろうとせずに少しづつ進めていきましょう。おもな作業項目を記載します。

 

・不用品の処分や引越しサービス会社への連絡、見積り依頼
・NTTや電力会社、水道局等、ライフライン各社への使用中止連絡
・新聞販売店や町内会等への連絡
・郵便局へ新住所への転送依頼
・銀行やクレジットカード会社への連絡
・マンションであれば管理組合への届け出 etc

 

引渡しは契約時に約束した状態で行なわなければなりません。事前に、引渡しや引越しのスケジュールをしっかり確認しておきましょう。

 

11.代金決済と物件の引き渡し

 

契約に定めた内容で物件の引渡しを行ないます。物件の状況を改めて確認しておきましょう。残代金の受領と同時に物件(鍵)の引渡しを行い、売買契約の一連の手続きは完了します。売主は代金決済時に、以下のような書類が必要です。

 
<売主の必要書類>
・「権利証(登記識別情報)」(所有不動産の内容確認、所有権移転登記に必要です)
・「実印」(共有者がいる場合は、共有者分も必要です)
・「印鑑証明」(共有者がいる場合は、共有者分も必要です)
・「本人確認資料」(運転免許証などの公的身分証明書)
・「住民票」(現住所と登記上の住所が異なる場合は必要です)
・「領収証」(一般的には不動産会社が用意してくれます)

 

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以上で、不動産売却の一連の流れについての解説は終わりです。最後まで長文にお付き合いくださり、ありがとうございました。

みなさまの不動産売却のご成功をお祈りしています

家を高く売る、つまり相場以上の金額で売るには、買い手に金額相応の価値があることを納得してもらうことが必要です。
それには、売却対象の不動産が持つポテンシャルを最大限に引き出し、できるかぎり伸ばすといった「物件の価値を向上させるパフォーマンス」をなくして、高値売却は実現に至りません。
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この記事を書いた人
藤原 滋己 フジワラ シゲキ
藤原 滋己
函館ラ・サール卒。商船系データ通信会社から建築・不動産産業界へ転身。宅地建物取引士+二級建築施工管理技士。ハウスメーカー勤務時代に、木造住宅の工事監督のちに住宅・アパート・店舗・寺院など様々な建築物の営業を経験しました。建築不動産の営業歴は通算25年。 安心かつ安全な不動産取引のために、これまで培ってきた知識や経験・ノウハウを、お客様へのサービスのために全力で提供します。遠慮なく何でもご相談ください。きっとお役に立ちます。
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