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2020年05月18日
不動産売却の知識とノウハウ

持ち家vs賃貸論争、新型コロナウィルス感染リスクで断然「持ち家派」が増える。

持ち家か賃貸か、何十年も昔から議論されていることですが、2020年初頭から一気に感染拡大し、今もなお収束の見通しが立たない「新型コロナウィルスcovid-19」の感染リスクを鑑みると、ますます断然「持ち家」志向が加速することが予想されます。

全宅連の統計データを示しつつ、不動産賃貸や売買の現場を通じてお客様から見聞した消費者の声、そしてウィルス感染リスクに備えた将来暮らしという視点で、賃貸か持ち家かを解説します。

コロナ禍以前のインターネット調査結果は?|現在のお住まいに関係なく、あなたは「持ち家派」?「賃貸派」?どちらですか。

国内最大の不動産業団体である公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合会(全宅連)が2017年に行なったアンケートでは、次のような結果を示しています。


(調査方法:インターネットによるアンケート調査、対象:日本国内全地域在住の20歳以上の男女、有効回答数:14,331件)



持ち家派 84.9%(一戸建て67.5%+マンション17.4%)
賃貸派  15.1%(一戸建て3.5%+集合住宅11.6%)


過去の調査で同じような割合を示しており、居住形態に関係なく、潜在的に「家」を持ちたいという意識が高いことが伺えます。

■持ち家派と答えた理由

①家賃を支払い続ける事が無駄に思えるから 63.1%
②落ち着きたいから            43.9%
③持家を資産と考えているから       39.4%

 

マイホームを持つのが夢だからと答えた方は21.7%で、年代が若いほど「夢」や「憧れ」に強い傾向を示しているようです。

■賃貸派と答えた理由

①経済的拘束の回避
「住宅ローンに縛られたくないから」 59.0%

②勤務場所・家族構成の変化
「仕事の都合で」          37.5%
「家族構成の変化で」        31.6%
 

住宅ローンに縛られたくないからが59.0%と最も高く、次に多かったのは仕事の都合や家族構成の変化で引越しの可能性があるからと続きました。

なお、住宅ローンに縛られたくないからと答えた方は50代がやや高い傾向にあったようです。

現在の住まいに対する満足度は?

・持ち家の平均得点: 73.0点
・賃貸の平均得点:  65.2点

持ち家に住んでいる人のほうが、現在の住まいに対する満足度は高いようです。
 

さて、このアンケートに回答したのは20歳以上の男女、つまり大人なわけですが、次は子どもたちの目線でちょっと見てみましょう。

 

ここからはアンケートに反映されていない「現場の声」的なお話を紹介します。

 

新型コロナウィルス感染拡大を契機に、人々の暮らしが変わる。

在宅勤務、リモートワークが増え、企業は全従業員を収容できるオフィスを必要としなくなりつつある

新型コロナウィルスの感染拡大防止を目的に在宅勤務が普及し、これまでとオフィスの在り方が変わってきました。

在宅ワーク普及がきっかけとなり、オフィイスで働く必要性が薄れ、企業は固定費の負担が大きい都心物件の解約やオフィイスの縮小移転を模索し始めました。

すでに、中小企業ではオフィス不要論が出始めています。

また、企業は移転により都心のオフィス賃料が固定費負担が縮減された分、従業員へ還元しようとする動きも検討するようになってきています。

大人の在宅勤務ばかりでなく、子供のオンライン授業も普及が広がる

今はまだ、リビングやダイニングを使用してノートPCを開いて仕事する方が多いですが、在宅勤務の日数が増えるにつれ、wifi環境を整えサクサク集中できる環境(専用の仕事部屋)を整える必要性を感じられることでしょう。

 

 Zoomを利用したWEB会議で、小さなお子さんが登場したりなど微笑ましい一面もありますが、当の大人は冷や汗ものです。



今後、在宅勤務がますます普及すると、家で過ごす時間が増えるので、仕事部屋を確保したいというニーズが高まってきます。

 

在宅勤務になったけど「自宅だと集中できない」という理由で、喫茶店やカフェに行く人が増えましたが、介護が必要な親御さんや低学年のお子さんのいる世帯では、家事と仕事を両立させることはたいへんですが、自宅で仕事ができるのはメリットが大きいです。

 

しかしながら、パパのWEB会議と息子のオンライン授業が同じ時間帯で重なることもありますので、集中力を維持させる環境、つまり専用部屋のニーズが高まります。

アフターコロナでもリモートワークを継続したい

アメリカZillowの2065人へのオンラインアンケート調査の結果によると、アフターコロナにおいては約75%の人がロックダウン解除後もリモートワークを継続したいと回答しており、今後はリモートワークしやすいような広い家や郊外へ引っ越しの検討が始まっているようです。

 

今後の家に求める機能はホームオフィスとしてのスペースの確保や、衛生面を考慮して複数のバスルームやトイレを設置したい、空気清浄システムの導入など、これまでの衛生設備をさらに充実させた住宅のニーズが高まるだろうと、専門家は予測しています。

 

日本では、通勤や通学などの交通利便性重視で考えると、賃貸物件は持ち家より分がありますが、在宅勤務が普及につれ、「2LDKより3LDK、3LDKより4LDKを」といった志向が変遷し、今後は都心マンションより郊外の戸建て住宅への持ち家志向が一層高まることでしょう。

コロナの影響で不動産投資家や金融機関は、不動産価格の下落を予想

コロナ禍による廃業や倒産、失業者の増加で不動産投資家や金融機関のほとんどが「不動産価格は下落する」と予想。

 

緊急事態宣言やロックダウンが解除されたとしても、経済が正常に戻るまで長期化するであろうと見込まれ、在宅勤務の普及で都心の賃貸需要が減るとの見方も多く、不動産価格が下落すれば、今後は持ち家志向が強まる可能性が出てきます。

 

家族目線で考える、消費者の声から見える子供や親が思う本当のところ。

不動産賃貸や売買の取引現場で実際に見聞した「消費者の声」をもとに解説します。

 

子どもたちはどう思ってる?

①親に叱られるから、静かにしなくちゃ...と思っている。

アパートやマンションなどの集合住宅では、上下左右に隣人世帯があるので、子供たちは元気にはしゃぐことにも遠慮がちです。

親に叱られるからというのが理由ですが、子どもは「風の子元気な子」静かにしていなさいと言うのが無理な話です。


②お誕生会などで仲良しのお友達を招待したい。本当はうちに遊びに来てほしいけど、アパートだから呼びたくない。

自宅に招いても賃貸のアパートやマンションだと、騒いだり盛り上がったりすることは出来ません。子どもながらに親に気を遣っています。

お友達が一軒家に住んでいることを羨ましく思ったりもしています。
 

小さなお子様連れの世帯が、賃貸でも売買でも戸建の内覧にいらした際に、子どもたちは大ハシャギ。

まるで、学校の体育館で遊んでいると思えるような元気100%の勢いです。内覧が終わっても、「まだ帰りたくない」「ここに住みたい」と洩らす場面に何度も遭遇しています。

きっと、私ばかりでなく、多くの不動産営業マンは経験済みでしょう。

自分たちの親はどう思ってる?

昔と違って、すっかり核家族化があたりまえになってしまいましたが、もしもあなたの親があるいは配偶者の親が高齢になり、「ひとり暮らしさせておくのが不安」な状況になったら、どうしますか?

「そのときは、親に施設に入ってもらうから、心配していない」といわれてしまうと元も子もありませんが、「一緒に暮らそうよ」と言われた親は嬉しいのではないでしょうか。

 

「まさか、一緒に暮らせるとは思っていなかった」、「子どもや孫たちと一緒に暮らせて、私はなんて幸せなのだろう」などなど...

 

人それぞれに生き方があるので、その考え方もいろいろですが、若いときはがむしゃらに働いて仕事ばかりで余裕がなかったけど、「少し、親孝行のこと考えてみようかな?」と思われたとき、選択肢に幅があったほうがよいでしょう。

賃貸では無理でも、持ち家なら受け入れ態勢を整えることができるのではないでしょうか。

大黒柱の交通事故、不測の事態でも持ち家だったら...

住宅ローンを借りて新築や中古住宅を取得した場合のお話になりますが、あなたは団体信用生命保険(略して団信生命保険とも言います)をご存じですか?

 

団信生命保険とは、住宅ローン返済中に、死亡や交通事故による高度障害など万が一の不測の事態が起こった場合に、生命保険で残りの住宅ローンが弁済される保障制度のことです。

 

住宅ローンを組むときに必ず加入するもので、保険料はローン金利に含まれていることが一般的です。

ガン・急性心筋梗塞・脳卒中の三大疾病を保障するタイプから、糖尿病や高血圧疾患などまで広く保障する八大疾病保障のタイプまで、さまざまな保障内容の保険商品があります。

住宅ローンの契約者である世帯主に万が一が起きた場合、生命保険でローン残債が弁済されることにより、せめて悲しみにくれる遺族の経済的負担がなくなるだけでも、その意味合いは大きいと思います。

 

もちろん、健康で長生きすることが一番ですが、住宅ローンを利用して持ち家を購入した場合は、いざとなったときに家族を守ってくれることになるのです。

ここは、賃貸とは大きな違いと言えるでしょう。

 

 

老後に賃貸暮らしをする場合、入居審査でつまづくことも!?

①高齢の入居者さんは大家さんが敬遠する傾向に

これは大家さんそれぞれに個人差があり、考え方がはっきりと分かれる部分です。

しかしながら、賃貸実務の場面では残念ながら、「高齢の入居者はお断りしてほしい」と申し出される大家さんが多いです。

理由は、「ひとり住まいでの孤独死」や「注意力が衰えてきた場合に失火されたら大変」といったマイナスな発想によるものですが、可能な限りリスクを回避したいと考える大家さんの心情も理解できます。


②自身が高齢になった場合、頼める連帯保証人がいないことも

自身に子供さんがいらっしゃるのなら、連帯保証を引き受けてくれるでしょうが、「自分には子供がいないし、親兄弟はすでに他界してしまっていて…」という境遇であれば、賃貸物件入居へのハードルが高くなります。

持ち家と賃貸では、税制面で優遇や違いはありますか

住宅を購入する場合は、一定の条件が付きますが、住宅ローン控除(借入金を有する場合の減税)の特例という税優遇の措置が受けられます。

住宅ローン控除とは、個人が住宅を新築したり、新築または中古の住宅を購入したり、現在住んでいる住宅の増改築等をした際に、金融機関から返済期間10年以上の融資を受けて住宅の取得等をした場合は、所定の手続きを取れば、一定の期間にわたり所定の額が所得税から控除されるものです。

 

住宅ローン控除の詳細については、国税庁のウェブサイトでご確認いただけます。

住宅を新築又は新築住宅を取得した場合(住宅借入金等特別控除)~国税庁
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1213.htm

 

現行法では10年間にわたり、一年で最大40万円まで控除が受けられます。(但し、実際の納めている所得税額以上の控除は受けられません。)

 

このように新築・中古を問わず、返済期間10年以上で融資利用した場合は、住宅ローン減税が受けられることが、賃貸にはない恩恵が受けられるのです。

 

持ち家有利思考の補足

Q.持ち家のメリットは、戸建てでも区分所有マンションでも同じですか。

A.いいえ、同じ効果は期待できません。

 

利用の制限がなく自由度が高いのは、土地付き一戸建てです。

マンションでは管理規約に定められた集合住宅ならではの利用の制限、間取り改造の自由度の制約等があります。

区分所有のマンションは賃貸マンションと異なり、権利異動(住人の出入り)が少ないため、暮らし始めてからでは顔見知りが多いことへの安心感があるでしょう。

管理人が常勤(または通勤)することも安心材料ですね。これ以外は、区分所有であっても賃貸であっても、暮らし向きはさほど変わらないので、戸建てが取得できるならそれが理想です。

 

また、一戸建てなら、南面の日の当たる場所で庭や菜園を楽しむことや、誰に気兼ねすることなく敷地内で愛車を洗車することもできるので、暮らしを楽しむ感覚はマンションの比ではありません。

ただし、マンションに住むメリットは、都心部に立地することによる利便性の高さ、そして上層階からの眺望であり、この部分は土地付きの2階or3階建て住宅には勝ち目はありません。

 

Q.会社員や自営業など、職業の違いは関係ありませんか?

A2.もちろん、関係あります。
 

不動産を現金で購入する方を除いて、一般的には持ち家を取得する場合、住宅ローンを組むことになります。

ご自身が「いつかは起業したい」、「自分でビジネスを始めたい」と考えているのであれば、住宅ローンという借金(負債)を抱えるのではなく、起業のための準備資金をしっかり貯めるべきです。



経済が高度成長を続けた頃とは異なり、今は店舗を構えれば、あるいは会社を設立すれば、すぐにお客様が来てくれる時代ではありません。事業を立ち上げて軌道に乗るまで、速い人で3年。5年くらいかかることは普通のことです。事業を始めれば良いときも悪いときもあります。

心構えとしては順風満帆に運ばないことを前提に、手元資金はしっかり確保しましょう。

事業が安定するまでは賃貸生活で、持ち家の取得は事業が軌道に乗った後で考えることをおすすめします。

Q.首都圏と地方都市でも同じでしょうか?

A.いいえ、違います。

 

ここでは、土地付き新築一戸建てを例に挙げますが、首都圏で持ち家を取得するには最低6,000万円以上かかります。23区内に限れば、1億円以上の予算が必要となるでしょう。

そのため、首都圏では中古マンション又は中古の一戸建て賃貸かの議論となり、立地環境等を勘案すれば、賃貸暮らしの方が生活利便性や交通アクセスの面で優るので、単に持ち家か賃貸かを同じ条件で比較しにくいからです。

 

ところが地方都市は話が別です。

私が暮らす函館を例に出すと、住宅街の土地付き新築一戸建て(建物90㎡、土地150㎡)3LDKの建売住宅は2,000万円くらいから取得できます。諸費用を含めると総体で2,300万円位です。

一方で、JR函館駅前の新築分譲マンション価格は、床面積が90㎡程度で3,800万円前後です。駅前一等地であることの付加価値も手伝って、ベッドタウンの土地付き一戸建てと比べると約1.7倍高いことになります。

 

東京と函館を比較すると、ベッドタウンにある土地付き新築一戸建ての価格差に3倍の開きがありますが、一般的なサラリーマンの収入はここまで格差はありません。せいぜい東京の70%程度です。

そういう意味では、首都圏で持ち家を取得することは、ものすごくハードルが高いと言えます。

 

また、首都圏の不動産は取得後に数年経過したあとでも、購入時と同じくらいの価格もしくはそれ以上で売却できたという話をよく聞きますが、地方都市では経過年数とともに不動産価格は下落するので、「購入したときより高く売れた」という現象はほぼありません。

首都圏で不動産を取得することはコスト的にハードルが高いですが、地方都市の不動産のように経過年数に比例した下落がないので、資産性は高いわけです。

持ち家は、売却=換金化できるのが大きなメリットですからね。

 

結論

賃貸と持ち家、かかる金銭コストの比較ばかりでなく、このような実生活における現状、そしてお金には代えられない価値を踏まえると、断然「持ち家」をおすすめします。


近年、TVでは住宅やマンションのリフォームを紹介する番組が多く、築年数が古い建物でもリフォームで素敵に生まれ変わり、古い建物を直して住むことに抵抗感を覚えなくなった方も多いことでしょう。

 

新築ばかりを追い求めるのでなく、自分達の背丈にあったローン返済に無理のない「中古住宅」を取得をする若い世代も増えています。

 

夫婦間で「持ち家」か「賃貸」かを話し合うときは、ご自分たちの人生設計と突き合わせて、この記事を参考にしていただけたら幸いです。




 

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この記事を書いた人
藤原 滋己 フジワラ シゲキ
藤原 滋己
函館ラ・サール卒。商船系データ通信会社から建築・不動産産業界へ転身。宅地建物取引士+二級建築施工管理技士。ハウスメーカー勤務時代に、木造住宅の工事監督のちに住宅・アパート・店舗・寺院など様々な建築物の営業を経験しました。建築不動産の営業歴は通算25年。 安心かつ安全な不動産取引のために、これまで培ってきた知識や経験・ノウハウを、お客様へのサービスのために全力で提供します。遠慮なく何でもご相談ください。きっとお役に立ちます。
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