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2020年03月13日
不動産売却の知識とノウハウ

買付証明書と売渡承諾書が交わされたら、不動産売買契約は成立するのでしょうか?

気に入った中古住宅に、購入希望金額や手付金の額を記載した購入申込書に20万円を添えて不動産業者に購入申込書を提出。

ところが、親の反対に会い、数日後にキャンセルを申し出ることに。すでに、売主から売渡承諾書が交付されている状態で、申込み金は返還されるのでしょうか

買付証明書と売渡承諾書の意義や性質について

 

不動産会社は、物件の内覧を済ませたお客様に資金計画書(取得費用明細書)を提示し、ご納得いただいたうえで、買主が購入の意思表示が固まったら、買付証明書を記入してもらいます。
 

上の画像は買付証明書の雛形です。

買付証明書に記載される内容は、対象となる不動産物件の表示とあわせて、物件の購入希望金額や支払い条件(手付金、残代金の支払時期)、契約予定時期、決済予定時期、融資利用の有無、その他契約条件、買主の住所・氏名・捺印欄です。
 

この買付証明書が買主から交付されて、売主との協議・調整に移ります。
 

不動産会社は買付証明書に基づき、売主に対して買主の概要や内覧時の反応や感想、物件を気に入った理由、買主からの希望条件等を説明します。


買主の購入希望条件と売主の売渡条件のすり合わせを行ない、折り合いがつけば、売主から売渡承諾書が交付されます。



口頭での約束だけでは信ぴょう性に欠けるところもあるので、このように書面によってお互いの意思表示を確認します。



買付証明書や売渡承諾書の法的拘束力はなく、当事者が契約に向けてスタートラインに立ち、今後の売買条件の合意成立に向けて、詳細を詰めていくことへの意思確認という意味合いです。

 

 

 

 

売買契約の成立は、いつの時点になるのか?

 

不動産業者に中古住宅を案内してもらったお客様(買受希望者)は、気に入った物件があったので、購入希望金額や手付金の額を記載した購入申込書に20万円を添えて不動産業者に購入申込書を提出しました。

 

売主は申し込み金額での売却を承諾して売渡承諾書を交付しました。上の画像が売渡承諾書の雛形です。



ところが数日後、買受希望者は親の反対を受けてやむなくキャンセルを申し出ましたが、売主は「買受希望者の希望金額で売渡承諾書を交付した段階で契約は成立している。
申込金20万円は契約が成立した時点で手付金の一部になっているので、キャンセルするなら手付金を放棄してくれと」主張しました。



買付証明と売渡承諾書が相互に交わされた場合、この時点で契約が成立したと言えるのでしょうか?

 

民法の原則から言うと、売買契約は、売主の売却意思と買主の購入意思の合致があれば、契約は成立します(諾成契約)。

 

しかしながら、不動産は他の商品と異なり高額であることや、民法のみならず宅建業法の適用を受け、その契約の内容も多岐にわたることから、契約の諸条件について売主・買主双方が合意して、はじめて契約が成立すると解されています。



裁判所は買付証明(購入申込)書の法的な意味合いについて、「一般に、買付証明書は、確定的に買い受ける意思表示をしたものではなく、単に、当該不動産を将来買い受ける希望がある旨を表示するものにすぎない」と判示しています。


ですから、買付証明を受けた売主が、売渡の承諾を一方的にすることにより直ちに売買契約が成立するものではないとしています。

 

当事者間で合意された契約条件が記載された書面(不動産売買契約書)をもって契約が締結された時点ではじめて契約が成立したといえるわけです。

 

買付証明書と売渡承諾書の授受のみでは売買契約は成立していない

実際、われわれ不動産業者の実務においても、買付証明書と売渡承諾書が相互に交付された後に、重要事項説明書・売買契約書(案)・物件状況確認書(告知書)等、契約に関連する書類の雛形を作成し、売主・買主の書類確認を経て契約日時の設定を行ないます。

 

言うなれば、買付証明書や売渡承諾書が交わされた時点は、相互に売買することへの意思表示(スタート)であり、契約の諸条件や合意内容の確認という次のプロセスへ進むサイン(合図)にすぎず、この時点をゴール(契約成立)とは言えないのです。


今回のケースでは購入申込書を売渡承諾書が互いに交付されたものの、契約に向けての諸条件を詰める前の段階で親に反対さえ購入を断念し、キャンセルを申し出たわけで、この時点で契約が成立しているとは言えませんので、買主が購入申込みを撤回することに問題はありません。

売主の主張は妥当でなく、売主ならびに媒介業者は申込金20万円の返還を拒むことはできないことになります。

 

今回のテーマにおいて、過去に、大阪高裁をはじめ東京地裁など数々の判例がでていますので、調べてみるとよいでしょう。

 

 

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この記事を書いた人
藤原 滋己 フジワラ シゲキ
藤原 滋己
函館ラ・サール卒。商船系データ通信会社から建築・不動産産業界へ転身。宅地建物取引士+二級建築施工管理技士。ハウスメーカー勤務時代に、木造住宅の工事監督のちに住宅・アパート・店舗・寺院など様々な建築物の営業を経験しました。建築不動産の営業歴は通算25年。 安心かつ安全な不動産取引のために、これまで培ってきた知識や経験・ノウハウを、お客様へのサービスのために全力で提供します。遠慮なく何でもご相談ください。きっとお役に立ちます。
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