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2018年12月17日
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地中埋設物と売主及び媒介業者の責任|瑕疵担保責任

古屋付きの土地を、宅建業者の媒介により、売主と買主は不動産売買契約を締結したものの、買主が自宅建築のために地盤調査を実施したところ、地中から解体工事の際に出た建築廃材が出現したせいで、予定外の廃棄費用や基礎工事の追加工事が発生しました。土地の瑕疵担保責任をめぐるトラブルの中でも紛争事例が多い、地中に埋設されていた廃材についての瑕疵担保責任について考えます。

地中埋設物と瑕疵担保責任のケーススタディ

不動産売買契約書には、①売主が建物を解体撤去し、買主が自宅新築工事に着手できる状態に土地を整理して引き渡す、②売主は土地について一切の瑕疵担保責任を負わない という条項が付されています。

買主が建築工事に入る前に、土地の地盤調査を実施したところ、地中に大量の建築廃材が埋設されていることが見つかりました。土地は地耐力不足への懸念から、基礎工事を補強しなければならない状況です。

そこで、買主は宅建業者に対し、「土地に建築廃材が埋められていたが、すぐに建築できる状態に整地して引渡しする約束だったはずなので、売主と媒介業者は廃材の撤去費用と建築工事の追加費用を負担してほしい」と費用負担を求めました。

これに対し、売主は「解体業者は宅建業者が手配したもので、解体に関することはすべて宅建業者に任せている。廃材を地中に埋めたことの責任は宅建業者と解体業者にある。契約書には瑕疵担保責任を負わないと書いてある」として請求を拒否しました。また、宅建業者は「解体業者を紹介しただけであり、工事についての責任はならびに媒介業者としての責任もない。」として買主の請求を拒否しました。

媒介業者の責任は?

媒介した宅建業者は契約に基づく売主の建物の解体撤去義務の履行を補助するために解体業者を紹介したものであり、解体工事について責任を負う立場にありません。

仮に、解体業者が工事中に建築廃材建築廃材を埋めていることを“知っていたにもかかわらず、何の措置も取らなかった”などの事情が存在しない限り、媒介業者に責任はないと考えられます。また、解体工事終了後、埋設物の存在等の有無等について検査する義務も宅建業者にはありません。

解体工事業者の責任は?

建物の解体工事を請け負った業者は、建物を解体して、解体により発生した建築廃材を適法に処分しなければなりません。廃材を地中に埋めて、土で覆い隠すなどの行為は認められるものではありません。解体業者は契約に基づく債務を履行していないので、発注者に対して債務不履行責任を負います。

売主の責任は?

契約書に「売主は土地について一切の瑕疵担保責任を負わない」旨の特約が付されていますが、今回のケースにおける地中埋設物の瑕疵は、契約成立後に生じた瑕疵(後発的瑕疵)である瑕疵担保責任の問題ではなく、「建築できる状態に整地して引渡しする」義務を履行していない売主の債務不履行責任が問題になると推定されます。

実際には、売主には瑕疵により生じた損害について賠償する責任があり、また、売主は解体工事業者に対し、買主に支払った損害金相当額を建物解体請負契約の債務不履行責任に基づいて請求することができると言えるでしょう。

予期せぬ地中埋設物の発見から争われる瑕疵担保責任

ひとくちに地中埋設物と言っても、解体工事の際に発生した建築廃材やコンクリート片などの類から、他人の給排水管の横断、大きな石(転石)のかたまりなど、色々なケースがあります。実際に法定で争われた事案の中で、転石は瑕疵と認められなかった例もありますが、産業廃棄物の範疇に入るコンクリートの残骸等は瑕疵担保責任の対象となるでしょう。

そもそも、売主は瑕疵担保責任を負わなければならないものですが、特約により「免責」にすることが可能です。売買契約の条件として大幅な値引等を引き受ける場合は、瑕疵担保責任の「免責」を視野に入れることもあります。但し、買主に不利な特約は無効になる恐れがありますので、信頼のおける宅建業者と相談するのがよいでしょう。

売主の瑕疵担保責任については、こちらでも関連記事をご紹介しています。

この記事を書いた人
藤原 滋己 フジワラ シゲキ
藤原 滋己
ハウスメーカー勤務時代に、木造住宅の工事監督のちに住宅・アパート・店舗・寺院など様々な建築物の営業を経験しました。建築不動産の営業歴は通算22年。 安心かつ安全な不動産取引のために、これまで培ってきた知識や経験・ノウハウを、お客様へのサービスのために全力で提供します。遠慮なく何でもご相談ください。きっとお役に立ちます。
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